政権交代でも対仏投資の積極誘致は変わらない--アピア対仏投資庁長官に聞く
「フランスにはイノベーションを促進するための環境が整っている」ともみられている。実際、R&Dセンターなどを建設しようという企業には、「研究開発税額控除」と呼ばれる税制上の優遇措置が用意されている。研究開発経費の30%までを税額控除するものだ。
71の産業クラスターが存在するのもイノベーションを後押しする。クラスターには580の外国企業が参加。うち、50は日本の企業だ。大学、公的研究機関をも巻き込んだ共同プロジェクトに参画している。
政府は最近、戦略的なイノベーションに関連するプロジェクトへ投資する目的で設立されたファンドの資金配分を委ねるコミッショナーに、航空機・防衛関連のEADS社会長だったルイ・ガロワ氏を任命した。
ファンドはサルコジ前政権時代に設定されたもので現在の規模は80億ユーロ。高等教育、学術・技術的な研究活動、グリーンテクノロジーの研究開発、デジタル経済の発展、持続可能な輸送、航空機、宇宙といった特別な産業分野での研究開発など、「未来の投資」と称される戦略分野へ資金を集中的に振り向ける。
--オランド新政権誕生をきっかけに、政府の直接投資誘致の方針には何らかの変化があったのでしょうか。
フランスは直接投資受け入れで以前から非常にオープンな国だ。現在、2万社に及ぶ外国企業が進出している。外国企業は地域や国レベルの経済活動へ積極的に参加するなどして発展に貢献。今では外資系がフランスの対外輸出の3割を担っている。雇用の受け皿としても非常に重要で、フランスの労働者200万人が外資系企業に勤務する。