生活保護に厳格化の波、拙速改革の落とし穴

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生活保護制度の見直しの議論が起こったのは、増加傾向にある生活保護給付費の抑制と、制度の信頼回復という大きな二つの理由がある。

高度成長期以降、減少傾向をたどった生活保護受給者だが、1995年度を底に上昇に転じ、2011年度は過去最高を記録。景気低迷や国民年金に依存する高齢者の増加から、今後も受給者増加が見込まれる。つれて財政負担も拡大の一途だ。

国民からの信頼回復も待ったなしだ。厚労省によると、全国の不正受給件数は10年度に約2万5000件と5年前から倍増。総額も約1・8倍の128億7000万円と過去最高を記録。暴力団や外国人の組織的な不正受給や、保護費の貧困ビジネスへの流出などが指摘され、国民の不信は増幅している。

政府は保護費抑制に向け、勤労所得の一部を積み立て、保護脱却後に還付する「就労収入積立制度」などの自立支援策の導入を検討。また資産調査を強化し、収入の未申告を防ぐなど信頼回復策も講じる。


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