伊東屋で売れる「ちょい上」ボールペンの秘密 膨大なペンの中でなぜこれがトップ商品に?

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NO.3は、クリップのアールやリングの太さにこだわるなど初代万年筆のクラシカルな雰囲気を活かしつつ、「デキる男」をイメージしてデザインされたという。特徴的なのは、天冠部分を回すとペン先が繰り出される仕組みだ。明石さんは、「これが時計の竜頭をイメージしたデザインであることを伝えると、男性はだいたい食いつきます」と話す。一般的に男性はメカ好きといわれるが、やはりこのようなディティールはたまらないようだ。

評判のマーブル模様は、これだけたくさんのサンプルの中から厳選されている

ボディの美しさも評価が高い。イタリア製のアクリル樹脂を1本ずつ手作業で削って仕上げたマーブル模様が「他社製品より上品と評判」(明石さん)だという。

また、選択肢が多いので選ぶ楽しさもある。軸は太軸・細軸・ミニと3種類、色は各7色(ミニは3色)から選ぶことができ、リフィルも前述の「イージーフロー」だけでなく、パーカータイプのリフィルであれば別のものも使える。特に豊富なカラーバリエーションに惹きつけられる人は多く、新色が出るたびに追加買いするコレクターもいるそうだ。ちなみに、人気色トップ3は、イタリアンネイビー、イタリアンレッド、マーブルグレイだという。

購入者の7割が男性だが、最近は女性客も増えているらしい。女性ファッションでメンズテイストが流行中の今、女性は筆記具にもカッコよさを求めているのかもしれない。かくいう筆者が今まさにその気分で、財布や名刺入れなどメンズ商品ばかりチェックしてしまう。

そういう観点でいうと、NO.3のデザインは男性的なスマートさがありながら、シンプルなので女性が持っても違和感がないところがいい。色やサイズが選べるということもあり、検討しやすいのではないだろうか。

即決しやすい絶妙な価格設定

開発を担当した伊東屋タイムバリュー商品部の金丸修二さん

もともと店頭では1万円代のボールペンが売れており、1万円以下の予算で足を運ぶ人も多いそう。「ちょっといいボールペンが欲しい」「ちょっと気の利いたプレゼントが欲しい」といった、「ちょい上」ニーズを満たす価格帯がどうやら一万円前後らしいのである。価格はこうしたニーズに合わせ、太軸が9180円(税込)、細軸が7560円(税込)、ミニが6480円(税込)となっている。  

実際、予算1万円以下の客はすぐに気に入り、プレゼント需要も非常に高いという。中には、プレゼント用のボールペンを探しに来て、最終的に自分の分と合わせて2本購入していく人もいるそうだ。

機能・デザイン・価格と、どこをとっても納得しやすいというバランスの良さが、こうした“即決買い”に繋がっているのだろう。初心者でも手にとりやすいこうした総合力の高い高級ボールペンは、今までありそうでなかったのかもしれない。

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