「石炭火力推進」を巡り日本政府内に不協和音 電力自由化にも不透明感

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石炭火力に批判的な環境団体「気候ネットワーク」の平田仁子理事は、「原発事故が起きてある程度の石炭火力回帰を予想していた」と述べながらも、「電力自由化への事業者意向が積み重なって、極めて大きな石炭の推進になっている」と嘆く。

石炭火力にも経済性の弱み

経産省は新設や既存の火力設備に最新鋭の効率を要求する規制を導入する方針。環境省も、環境影響評価の対象となる石炭火力の規模を引き下げて、効率の悪い小規模発電所の新設を封じる規制を検討中だ。

政府の抑制策に加え、再生可能エネルギーとの相乗効果が少ない石炭火力の新設は計画を大幅に下回るだろうとの指摘が一部の有識者から出ている。 2030年時点で日本が持つべき電源構成を議論する総合資源エネルギー調査会の審議に参加した橘川武郎・東京理科大学大学院教授は、「石炭は環境面からだけでなく、経済性の観点からもリスクが増える可能性がある」とし、その理由として「再生可能エネルギーとの関係」をあげる。

太陽光や風力などの新エネルギーは出力が不安定で、発電量が低下した場合に備え火力発電を増やしておく必要がある。この場合、出力調整の機動性は石炭よりもLNGが有利だ。 

橘川教授は、「石炭火力で出力調整をするのは最悪だ。(設備が)壊れてしまう可能性もある」と指摘。同教授は、石炭火力の増強は、計画1700万キロワットに対し、古い設備の廃止との差し引きで「500万キロワットが上限だろう」と述べた。

 

 

 

(浜田健太郎 編集:北松克朗)

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