「石炭火力推進」を巡り日本政府内に不協和音 電力自由化にも不透明感

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今月13日、丸川珠代環境相は千葉県市原市などで関西電力<9503.T>などが進めている2件の大型石炭火力計画に対し、環境影響評価法に基づく異議申し立てを林幹雄経済産業相に出した。同様の申し立ては今年すでに5件で、東京ガス・九電・出光3社連合による袖ケ浦火力もその対象になっている。

丸川環境相は石炭火力の新設計画について「国の削減目標等の達成が危ぶまれる」と厳しく批判。一方、林幹雄経産相は同日、記者団に「個別事業についての実施を否定されたものではない」と反発した。法的には経産相の認可があれば石炭火力の建設は可能だ。

政府によると、石炭火力(2014年時点)は1キロワット時当たり12.3円。10.1円以上とする原発、11.0円の一般水力に次いで3番目に安い。

しかし、原発の新増設は困難。水力は大規模開発の余地がなく、石油火力も大幅なコスト高のため国内に予定案件はない。新設計画は石炭か液化天然ガス(LNG)火力に集中している。LNG火力はCo2の排出量が石炭に比べ6割少ないのが利点だが、コストは石炭に比べ約1割高い。

電力業界関係者は「自由化では経済性が最重視される。新設の石炭はフル稼働するだろう」と先行きを楽観視する。

原発事故で棚上げになった温暖化問題

米国ではオバマ政権が石炭火力の新設を実質禁止する政策を8月に発表。英政府は今月、25年までに国内の石炭火力を廃止する方針を出すなど、先進各国では「脱石炭」の動きが顕著になっており、日本の逆行性は否定できない。

Co2を出さない原発に依存していた日本の温暖化対策は、東京電力<9501.T>福島第1原発事故により状況が一変。国内世論が反原発に傾く中、電力需要をまかなうには火力に頼らざるを得ず、温暖化をめぐる政策議論は事実上、棚上げを余儀なくされている。

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