「石炭火力推進」を巡り日本政府内に不協和音 電力自由化にも不透明感

拡大
縮小
 11月30日、LNG火力はCo2の排出量が石炭に比べ6割少ないのが利点だが、コストは石炭に比べ約1割高い。横浜市で9月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 30日 ロイター] - 11月30日にパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電所をめぐり日本政府内の不協和音が続いている。コストの安い石炭火力を推進したい電力・エネルギー業界とその後見役の経済産業省に対し、国際公約を優先する環境省が激しく異議を唱えており、来年4月の電力小売りの全面自由化の先行きにも影響が出かねない情勢だ。

「石炭火力は経済性と安定性に優れている。問題は環境性だが、電力事業進出で石炭もやっていきたい」―。東京ガス<9531.T>の広瀬道明社長は先月の記者会見で、石炭火力参入に意欲を示した。

同社は九州電力<9508.T>、出光興産<5019.T>と組み、千葉県袖ケ浦市で大型石炭火力の建設を目指している。これを含め国内で新設を準備中の石炭火力発電所は30カ所強に上り、その設備量は約1700万キロワット。東北電力<9506.T>に匹敵する規模の電源が石炭火力により計画されている。

ガス削減の国際公約に疑問符

現行の石炭火力を含め国内の発電所が排出するCo2は、日本全体の排出量の約4割を占める。政府は今年6月、2030年までに温室効果ガス排出量を13年度比26%減らすとの公約を国際的に打ち出した。しかし、排出量が大きい石炭火力の建設計画が乱立しており、温暖化対策の推進を担う環境省や環境団体は焦りを募らせている。

次ページ環境省が石炭火力増設に異議
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT