「石炭火力推進」を巡り日本政府内に不協和音 電力自由化にも不透明感
[東京 30日 ロイター] - 11月30日にパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電所をめぐり日本政府内の不協和音が続いている。コストの安い石炭火力を推進したい電力・エネルギー業界とその後見役の経済産業省に対し、国際公約を優先する環境省が激しく異議を唱えており、来年4月の電力小売りの全面自由化の先行きにも影響が出かねない情勢だ。
「石炭火力は経済性と安定性に優れている。問題は環境性だが、電力事業進出で石炭もやっていきたい」―。東京ガス<9531.T>の広瀬道明社長は先月の記者会見で、石炭火力参入に意欲を示した。
同社は九州電力<9508.T>、出光興産<5019.T>と組み、千葉県袖ケ浦市で大型石炭火力の建設を目指している。これを含め国内で新設を準備中の石炭火力発電所は30カ所強に上り、その設備量は約1700万キロワット。東北電力<9506.T>に匹敵する規模の電源が石炭火力により計画されている。
ガス削減の国際公約に疑問符
現行の石炭火力を含め国内の発電所が排出するCo2は、日本全体の排出量の約4割を占める。政府は今年6月、2030年までに温室効果ガス排出量を13年度比26%減らすとの公約を国際的に打ち出した。しかし、排出量が大きい石炭火力の建設計画が乱立しており、温暖化対策の推進を担う環境省や環境団体は焦りを募らせている。