揺れるオリンパス、資本提携にジレンマ
関係者からは「10%程度の出資比率で筆頭株主になってもあまり意味がない」という声も聞こえる。
それでも成長分野である医療関連事業で圧倒的な強みを持つオリンパスとの関係強化は魅力的だ。内視鏡で7割の世界シェアを握るオリンパスが持つ国内外の病院との密接なネットワークや、海外の医療関連の法規制の知識といったノウハウが手に入れば、参入障壁が高かった医療関連事業を伸ばすチャンスともなる。
また、一方が資本提携をした場合、内視鏡やデジカメ向けでこれまで両社が分け合ってきたイメージセンサーの供給を相手側に取られかねないという危機感も背中を押し、簡単には交渉から降りられない。
オリンパスの財務健全化を急がせたい金融機関が裏で主導しているとの見方もあり、パナとソニー双方による駆け引きは過熱している。巨額の単独出資を避けてパナ、ソニーの双方が出資する案も浮上しているようだが、「単独の出資でないとメリットがない」という関係者の否定的な声もある。
一方で、証券アナリストからは「医療事業におけるシナジーだけを考えれば、富士フイルムが最適」との声も出ているほか、かねてより資本提携関係にあるテルモとの密接な関係性も無視できない。
また、ある大株主の機関投資家は、笹社長と最近面談し、「既存株主にとって株の希薄化に見合うだけのシナジー効果があるとは思えない」と資本提携自体への反対を伝えた。
28日に株主総会を控えているオリンパスは、今後の青写真をどう説明するのか。提携先はもちろん、株主や金融機関、従業員などステークホルダーとの難しい調整が続く。
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(島大輔 撮影:谷川真紀子 =週刊東洋経済2012年6月23日号)
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