成城石井は、なぜ「安くない」のに売れるのか

こだわっているのは、たった一つの本質だ

スーパーでは食品工場などへの外注で総菜を品揃えしているのが一般的ながら、成城石井は自社で工場を持ち、200種類以上の総菜や加工食品を製造し、全国の店舗へ配送している。

総菜はすべて一流のホテルやレストラン、和食店などで働いていたプロの料理人が作る。こだわりの食材を使用し、機械は使わず基本的に手作業で作っていく。

美味しさへの徹底的なこだわり

なぜ手作業にこだわるか。それがいちばん美味しいとわかっているからだ。人気商品のポテトサラダは、ジャガイモの皮を手でむいていく。1日に500kgから600kg、2500個ものジャガイモが手むきされている。多くの食品工場ではジャガイモの皮を一瞬でむいてくれる機械が使われているにもかかわらず。「ジャガイモは皮の真下が一番おいしいので、その部分を残してむくためには手作業しかない」のだという。

味付けも、化学調味料はできるだけ使用しない。合成甘味料、保存料、合成着色料は一切使わない。当然、賞味期限は短くなる。保存料を使えば長持ちし、売る側は圧倒的に楽だ。だが成城石井はそれをしない。「家庭で作られている料理に、保存料や着色料は入っているか?」が考えの原点だ。

これほどまでのこだわりを聞くと、「それでも高い」か、「ここまでしているならこの価格は安い」か。後者が少なくないのである。なぜ成城石井はここまでこだわるのか。そのルーツは、1980年代にある。

成城石井は今から30年以上前、まだ成城にしか店舗がなかった頃、ワインの直輸入を開始した。きっかけは、顧客の声だったという。成城には、ヨーロッパに居住経験のある人や、感度の高い文化人と言われる人たちがたくさん住んでいた。その人たちから言われたのだという。「本場ヨーロッパのワインはもっとおいしい」と。

ワインの輸送は今も主に船で行われているが、船便は輸送中の品質管理が難しく、温度管理をしていない鉄のコンテナで赤道直下を通ると、高温にさらされることが原因でワインの味を落とすことがよくあったそうだ。

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