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鈴木和夫社長と娘のみどりさん(筆者撮影)
奈良県の人口約6300人の小さな町で、23年間・1億円を自腹で注ぎ込んで靴下を開発し続けた男がいる。社内では「社長の靴下」と笑われ、東京の大手雑貨店では軒並み門前払い。商談帰りに京都駅のゴミ箱に頭を突っ込んで嘔吐したこともある。それでも折れなかった男が作り続けたのが「米ぬか靴下」だ。2020年、その靴下は楽天市場の約2億点ある全商品のうち販売数1位を獲得する。
前編では、23年という歳月をかけ、1億円を自腹で注ぎ込んで「世界唯一の米ぬか靴下」を開発した鈴木和夫さんの物語を描いた。なぜそこまでできたのか。答えを探る後編では、東京での挫折と和夫さんの経営哲学、そして娘・みどりさんによるリブランディングまでを描く。
「社長の靴下」と揶揄された
奈良県の小さな靴下工場の玄関先。2003年、当時高校生だったみどりさんが帰宅すると、父がカセットコンロを持ち出し、靴下と米ぬかを鍋に入れ、真剣な顔で煮込んでいる。
「おかえり! 今日の晩ご飯やで〜」
「お父さん……大丈夫?」
みどりさんは本気で心配になった。
「米ぬかの成分を配合した靴下を作りたい」と靴下を煮込む鈴木和夫さんは、日本で2番目に面積の小さい奈良県三宅町で、67年続く靴下工場「鈴木靴下」の2代目社長である。鈴木靴下は、受注生産でW杯日本代表やJリーグチームのサッカーストッキングを手がけてきた高品質メーカーだ。
工場内で特許技術を用いた靴下を製造する和夫さん(写真:鈴木靴下提供)
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【「米ぬか靴下」は開発当初、「社長の靴下」と揶揄されていた】
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