大飯原発再稼働に必死の関西電力、原発頼みの“倹約”経営は限界

関電の場合、11基の原発のうち、美浜1号機が運転開始から40年を迎えているほか、今後8年間で6基が次々と稼働40年に達する。来月稼働40年となる美浜2号機については現行法下で運転期間を10年間延長する手続きが目下進んでいる。が、今後「40年ルール」が厳格に適用されれば、関電では20年までに稼働原発は4基にまで縮小。電力供給力が徐々に減る一方、廃炉費用まで抱えることになりかねない。

今後の資金調達も頭が痛い。電力会社は従来、信用力をテコに社債を大量に発行することで資金を調達してきた。が、前期の関電の自己資本比率は20・1%まで低下。巨額赤字が続き資本の毀損が進めば、社債を発行しようにも金利が高くなるのは避けられない。銀行からの借り入れも原発の稼働状況によっては条件が厳しくなる可能性がある。

一時的に稼働できないだけならば、コスト削減や電気料金値上げなどでしのぐことはできるだろう。が、問題が長期化するほど、厳しい状況に追い込まれていく。

関電が積極的に原発建設を進めたのは1970年代で、93年を最後に新設は一つもない。「原発の減価償却は通常20~30年で、これまでは老朽原発を多用することで儲けてきた」(慶応義塾大学経済学部の金子勝教授)との見方もある。原発は停止中も燃料の冷却コストなど費用がかかるため、利用できなければ稼ぎ頭から単なる“金食い虫”になってしまう。しかも、政府の方針転換で廃炉を迫られれば、原発は完全な「不良資産」と化す。

だからこそ、一刻も早く原発を再稼働し安全性をアピールして、できるだけ長く原発を稼働し続けることが重要だ。再稼働に慎重な姿勢を見せる電力会社が多い中、関電の八木社長は電気事業連合会の会長としても早期再稼働を政府に強く訴え続けている。国が新たなエネルギー計画を練る中、関電を支えてきた事業モデルも転換期を迎えている。

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(水落隆博、倉沢美左 =週刊東洋経済2012年6月16日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
写真:関西電力の原発安全PR用CMより
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