『ニキータ』(1990年)=アンヌ・パリロー、『レオン』(1994年)=ナタリー・ポートマン、『フィフス・エレメント』(1997年)=ミラ・ジョヴォヴィッチと、つねに斬新なヒロイン像を確立してきたベッソンが新作でフィーチャーしたニュー・ヒロインは、いま世界最注目の女優のひとり、スカーレット・ヨハンソン。本作においても覚醒したスーパー・ウーマン役で、見事にはじけ飛んでいる。
ある日、ひょんなことから台北のホテルで、マフィアの闇取引に巻き込まれてしまった平凡な女性ルーシー(スカーレット・ヨハンソン)。脅されたあげく体内に新種の麻薬を埋め込まれ、運び屋に仕立て上げられる。ところが腹部を蹴られたはずみで麻薬が体内に流出してしまう。このアクシデントで、通常は10%しか機能していないはずの彼女の脳が急速に100%に向かって覚醒し始め、強大なる未知のパワーを得てしまうのだが……。
薬物での覚醒~スーパー・パワー獲得となれば、即、大友克洋のコミック『AKIRA』が思い浮かぶ。しかし類似性はさほどなく、むしろ部分的には『2001年宇宙の旅』(1968年)のスターゲイト・シーンを想起させる。また、大物俳優モーガン・フリーマンがキャスティングされるも、映画の大半はヨハンソン=ルーシーの独壇場。まさしく、これは“ルーシー・ショー”(年配者しかわからない?)だ。
ラストがちょっとアッケないが、電脳SFエンターテイメントとして、うるさいこと(科学的な整合性?)言いっこなしで鑑賞すれば、比較的上映時間も短いので、充分満足が得られるはず。ネタを詰め込みすぎて、散漫になるよりましだろう。超人ルーシーの続編があるとするなら、『スピーシーズ』に似てきそうな予感?(すでに似てるか!?)
(文:たかみひろし/音楽・映像プロデューサー)
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