繁華街に突如現れる「白馬に乗ったおじさま」…借金4000万円から《食肉市場》で売られていた馬と共に"幸せ配達人"になった男の壮絶50年

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「ナレーションやテロップを入れてみたり、あーでもない、こーでもないと言いながら撮ってましたね。凝ってつくった動画ほどみんな見ないんですよ(笑)。だから今は、ただ馬を映すだけ」

2023年3月、相棒の白馬・シュガーベルがトラックから降りてくる動画が292万回再生を突破。ポニーが生まれる瞬間を捉えた動画は1300万回以上再生された。

TikTokがバズると、地元のテレビ局で「白馬に乗ったおじさま」として特集が組まれた。街中を白馬と歩くその姿に反響は大きく、年間視聴者反響1位を獲得。「白馬に乗ったおじさま」の誕生だった。

貞松さんとミルク
貞松さんとミルク(写真:貞松和彦)

それでも馬と生きる

SNSでバズり、テレビで取り上げられ、絵本も出版された。傍から見れば、順風満帆に見えるかもしれない。

しかし現実は――コロナ禍で抱えた借金の返済は、今も続いている。

好きなことを仕事にする。言葉にすれば美しいが、現実は甘くない。何度も倒れ、何度も立ち上がり、それでもまだ走り続けている。

現在、福岡市早良区の山中に1500坪の牧場を構えている。

もともとは、ひとが立ち入る余地もない荒れ地だった。最初に契約を結んだ結婚式場時代に知り合った地元の社長が「うちの土地があるからそこでやんなよ」と貸してくれた。貞松さんは自ら重機を操り、その土地を切り拓いた。

「乗馬クラブのスタッフって結構できるの。業者に頼むお金ないから自分たちでやってたんですよ。楽しいし」

事務所も、厩舎も、倉庫も、トイレも、すべて手作り。地主から譲り受けた倉庫のパーツを磨き、仲間たちと基礎を打ち、コンパネを貼り、屋根をかけた。最近はシャワー室も作った。配管などはどうしたのか尋ねると、「YouTube見ながら勉強して作る」とあっさり答えた。

貞松さんが仲間と作った建物
事務所も厩舎も貞松さんと仲間で作った(写真:筆者撮影)
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