《家のカビ相談》24年比で65%増"の理由 見えない腐朽の深刻 「新築だから大丈夫、ではない」
かつて住宅のカビといえば、隙間風の入る古い家特有の悩みだと思われてきた。しかし、現在の相談の主役は、築浅の高性能住宅にまで広がっている。そもそも、カビが発生し増殖するには、空気・栄養源(ほこり・皮脂など)、温度、湿度という4つの条件が不可欠だ。
このうち、空気は遮断できず、温度も人間が快適と感じる範囲がカビにとっても最適であるため、この2点による対策は困難だ。つまり、住まい手がコントロールできるのは、栄養源を取り除く掃除と湿度の2点に集約されると言えるだろう。
特に湿度は、60%を超えるとカビの活動が活発化する。昨今の住宅は「高断熱・高気密」が標準となり、魔法瓶のように外気を遮断できるようになった。しかし、この密閉性の高さこそが、適切に湿気を排出できない場合は大きな「カビ」リスクにつながってしまう。さらに、高温多湿が常態化している近年の気候も、室内環境をより過酷にしているのだ。
加えて、住宅診断の現場で感じるのは、住まいのあり方が劇的に変わる過渡期ゆえの課題だ。ハウスメーカーや工務店といった住宅の作り手側から住まい手に対し、24時間換気の正しい運用や、収納・家具配置といった「湿気をためない住まい方」がいかに大切かという点が、十分に伝わっていないケースも散見される。
最新の家であっても性能への満足にとどまらず、作り手と住まい手双方が正しい運用の知恵を共有していくことが、今、より強く求められているのだ。
あらゆる住まいに潜む見過ごせないサイン
この問題は、決して新築住宅に限った話ではない。日本の住宅の気密性能を劇的に高めたのは、実はかつてのアルミサッシの普及だった。木製サッシの時代に比べ、アルミサッシは建物の隙間を一気に減らし、気密性能をそれ以前から格段に引き上げた実績がある。
つまり、築20年、30年の住宅であっても、アルミサッシの普及により一定の気密性が確保されているため、換気が不十分な箇所には「空気が動きにくい場所」ができやすく、カビが発生しやすい環境はすでに整っているといえる。
高気密化によって、「一度入り込んだ湿気がその場によどんでしまう」という課題は、今や新旧を問わず多くの日本の住宅に共通する、いわば家を傷めてしまう見えない弱点となってしまっている。


















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