"日本の防災"が抱える欠陥!? 「善意の混乱」にどう対処するか——危機対応のスペシャリストが伝える「国難級災害への備え」

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保健医療福祉調整本部
能登半島地震の際に石川県庁に設置された保健医療福祉調整本部の様子(写真:秋冨さん提供)

2011年の東日本大震災では、青森から千葉までの太平洋沿岸に津波が押し寄せた。南海トラフ地震では、鹿児島から神奈川まで同じような状態になる――。

昨年10月、都内で開催された医学会で、いずれやってくる“国難級災害”についてこう強く訴えたのは、危機対応のスペシャリストで医師の秋冨慎司さん(金沢医科大学救急医学講座特任教授)だ。

政府は昨年12月、首都直下型地震が起こったときの被害想定と対策について、報告書を公表。そのなかで「M7クラスの地震はいつ発生してもおかしくない」としているが、日本の防災は“危機的状況”を呈していると秋冨さんは話す。

本稿は前後編でお届けしています。前編は災害対応におけるITのスペシャリスト・宮川祥子さんに話を聞きました。

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被災地で重要なのは「誰が、何をするのか」

24年1月1日に起きた能登半島地震で、日本医師会からの派遣で全国から集まったJMAT(日本医師会災害医療チーム)活動の支援にあたった秋冨さん。滞在した期間は1月4日から4月17日まで、なんと3カ月以上にも及ぶ。

石川県庁に置かれた保健医療福祉調整本部で秋冨さんが最初に行ったのは、「誰が、何をするのか」をシステム化することだった。

秋冨さん
金沢医科大学救急医学講座特任教授・秋冨慎司さん(写真:秋冨さん提供)

「実際のところ、支援に来たのはいいけれど、『何をしたらいいのか……』みたいな人たちもいた。“誰が何をするのか”責任を明確にしないと、被災地・被災者支援がどんどん遅れていく。それだけは避けたかった」と秋冨さん。

これは、能登半島地震に限ったことではない。ひとたび災害が起こると、支援をするために公的、私的問わず多くの組織や個人が被災地に集まってくる。

「人助けをしたい」「自分にできることがあれば……」という善意や強い使命感で駆けつけるわけだが、そうした人たちをまとめ、“適材適所”に割り当てなければ、結局その善意は無駄になってしまう。

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