初任給や月給だけじゃ「ホントの給料」は測れない時代になった――「社員向け株式報酬」が日本企業に大切な3つの理由

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社長をはじめとする経営陣に対する株式報酬はすでに多くの企業が採用し、スタンダードな報酬形態になっています。会社は株主が拠出した資金をもとに事業を行い、経営陣は株主によって選任されます。株主と同じ方向を向いた経営を行うためにも、経営者の報酬を株価と連動させる株式報酬を導入し割合を高めることは合理的といえます。

この考え方を明確に後押ししたのが、2023年に東京証券取引所が示した「資本コストと株価を意識した経営」の要請です。これを受けて、役員報酬の一定割合を現金ではなく株式で支払う企業が急速に増えました。現在では、役員報酬全体の半分近くを株式で構成する企業もめずらしくありません。

そして今、その流れが経営層から社員層へと広がっていく、そんな動きが着実に始まっているのです。

社員向け株式報酬を導入する意義

現時点では、トヨタ自動車、JR東日本、NTTといった一部の先進企業が導入を開始している社員向け株式報酬ですが、導入するメリットは大きく分けて3つあります。

インフレが進む中で、多くの企業にとって、継続的な賃上げは避けて通れない課題です。ただ、基本給の引き上げは固定費の増加を意味します。

その点、株式報酬を組み合わせることで、モチベーションを高めつつより柔軟な報酬体系を構築することが可能になります。これが1つ目のメリットです。

もちろん、労働基準法では賃金の通貨払いが原則とされており、既存の給与を株式で置き換えることはできません。従業員向けの株式報酬は、あくまで現金給与にアドオンされる形で設計されるのが大前提です。

次に、社員が「株価を意識した行動」をするようになるというメリットです。

東証の要請以来、「株価を意識した経営」という言葉が一般的になりつつありますが、依然として日本企業には「従業員は株価を気にするべきではない」という“株に対する誤解と偏見”が根強くあります。

株価は利益×PER(株価収益率)で決まります。あらゆる企業活動の結果である利益と、それを将来どれだけ積み上げることができるのかをあらゆる投資家が見立てた倍数(PER)、その掛け算です。

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