「売り手市場ってまじ?」「所長なのに年収300万台」「部下は日本語も常識も通じない」 "転職ブーム"に乗れなかった《若き清掃員たち》の嘆き

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「転職ブーム」「若者は引く手あまた」と言われても、その状況は変わりつつある。

帝国データバンクが実施した「雇用動向(採用)」に関するアンケート調査では、25年2月時点で25年度の正社員・非正社員の採用見込みが低下する結果となった。

「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と考えている企業は、前回調査(2024年2月実施)から2.7ポイント減の58.8%。2年連続で前年度を下回り、新型コロナの影響が大きかった2021年度(55.3%)以来、4年ぶりに6割を下回った。

誰もが転職できるという状況ではなくなっている。

副業をしてしのいでいる

妻帯者である2年目の所長は、給与が少なすぎると妻から詰められて、副業を始めた。週3日、自宅そばのスポーツジムの清掃をパート社員の立場で請け負う。月に4万円程の収入になる。

もちろん会社は了承済みだ。給料は上げられないが、副業をして稼いでくれというスタンスなのだ。

彼らの事例を見ると、「若い人は引く手あまた」「外国人や高齢者人材を積極活用して皆がwin-win」といったことが、いかに幻であるかがわかる。

2人は今日も喫煙所で寒空の下、たばこを吸いながら、向かいの大きなビルを見つめ、つぶやく。

「あのビルに入っているような会社の正社員になれていたらな……」

「パートさんたち、『孫にお小遣いをあげたいから働いてるの』って。いいなあ、こっちは金がなくて子どもも作れないのに」

「転職したいよ」

「あのビルも、俺らと同じような“所長”が掃除しているのかもな」

吉田 典史 ジャーナリスト

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よしだ のりふみ / Norihumi Yoshida

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』(ダイヤモンド社)など多数。

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