なぜ民主党「解党構想」は盛り上がらないのか 評価を下げた前原氏と細野氏

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維新の党にとって「解党構想」は文字通り"寝耳に水"だった。

「解党構想は報道で初めて知った」。維新の党のある議員はその時の驚きを打ち明ける。「松野(頼久)代表も、いきなりの報道で驚いていた。ただ江田さんは役職を離れて自由な立場だ。多少先を急ぐ話もできなくはない。松野代表は、『江田さんの言っていることと私の言っていることは同じだ』と歩調をあわせている」。

だが17日の会見で今井雅人幹事長は、「岡田代表をはじめとする執行部と話をする」と、11日の合意には否定的だ。建て前と本音は違うのか。あるいはオーナー意識を持つ江田氏とその他では、意識に差があるということか。

評価を下げた前原氏と細野氏

さて、この騒動は提唱者3名の評価を大きく低下させた、といわざるをえない。なかでも、評価を落としたのは、前原氏と細野氏である。

細野氏を支持してきた民主党関係者は、「細野氏はもっと早く岡田氏に反旗を翻すべきだった」と述べる。「安保法制での対案も作れなかったし、外国人メイドの導入を含む特区法案も成立寸前だったのに、阿部とも子衆院議員が岡田克也代表に直訴してひっくり返されてもいる。挙句の果てが、12日の岡田代表の『執行部は代表、代表代行、幹事長、参院会長』発言で、完全に細野氏バカにされていることが明らかになった。そもそも細野氏も岡田代表に嫌われているのを自覚しているのだから、さっさと辞表を出すべきだった」。

特区法案の廃棄は、松本氏の離党の遠因にもなっている。同法案の廃棄のきっかけは、『フィリピンからメイドを導入するなんて、従軍慰安婦じゃないか!』という阿部氏の一言だが、廃棄を決めた代表に細野氏が強く抵抗しなかったことに松本氏は失望した。松本氏以外にもこれで執行部に疑念を抱いた議員が多かったことは事実である。

「こんなことをしていては、細野氏の政治家としての賞味期限が切れてしまう」。すでに細野氏の政治生命を危ぶむ声すら聞こえている。前原氏に至っては、「ひとりで離党しておおさか維新の会に合流すればいい」と見放した声も出ているのだ。前原氏は約20名の衆参議員で構成する凌雲会を率いているが、前原氏に付いていくと思われるのは皆無と思われている。理念だけをぶち上げても、リーダーシップはとれないということだ。

17日夕方の政調会長会見で、細野氏は長島氏が批判したキャッチコピー『権力の暴走を許さない』のポスター2枚を背にする感想を聞かれ、「いまの与党は巨大だから、全く的外れだとは思わない」と答えた。

この時、細野氏は背後を振り返り、「本当だ」とポスターを確認した。しかし政治家として自身の背後を振り返る時、付き従う仲間の姿を見つけられるのだろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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