「退職金でリフォーム」50代が陥る"終の住処"の罠――"通勤前提"に考えて買った住まいのままでいいのか?専門家が語る正しい選択とは

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では裁判所はどう判断するのでしょうか。

ケースによって違いはありますが、これまでの例をみるに、多くのケースで、裁判官はかなり賃借人に有利な和解案で調停しています。つまり大家側の言い分はほとんど受け入れられず、賃借人の生活の維持に配慮した判断をするものが多いです。

外国人オーナー家賃を爆上げ

昨今、話題になったのが、国内の賃貸マンションを一棟丸ごと購入した外国人オーナーが、賃借人に対して一斉に値上げを通告。上げ幅は数十パーセントから2倍もの大幅な値上げ。応じないのならすぐに退去するようにと通告したことでした。

この状況がメディアにも取り上げられ、外国人による不動産爆買いで日本人賃借人が大変な目に遭っているとされました。

この報道をみても、実際の賃借人側の対応でも、大家がこうした通告をしてきたら応じるか、さもなければ退去せざるを得ないかの選択を迫られると誤解していることがわかります。

正解としては、大家の言い分はそのままに従前の賃料を払い続け、裁判などで争えばよいのです。

もっとも報道によれば、応じない賃借人が複数出たことからエレベーターを停止するなどの嫌がらせを行い、退去を促したとのこと。かなり悪質な大家ともいえます。

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その後、大家である外国人も騒ぎが大きくなったことから値上げを撤回し、いったん騒ぎは収まりました。日本の借家法を教えられたのかもしれません。

大家が外国人であるとこうした日本の法律を知らず、自国ではあたりまえの賃料引き上げを行う、賃借人も借家法に基づき、不当な値上げには応じないなどの対応が取れることを知らない、などの問題が顕在化した事例ともいえます。

現在、家を賃借している人は賃借している権利が保護されており(普通借家に限ります)、従前賃料をきちんと支払うこと、支払い続ける意思があることを表明している限り、追い出されることを心配する必要はありません。

ただ、今は物価が上がる、管理費などの費用が上昇する時代でもあります。大家側の値上げ案を唯々諾々と受け入れる必要はありませんが、ある程度の値上げには応じていくことも、大家との円満な関係を維持し、長く暮らしていくコツといえるでしょう。

牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

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まきの ともひろ / Tomohiro Makino

1959年生まれ。東京大学経済学部卒。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。著書に『不動産の未来』『負動産地獄』『空き家問題』『2030年の東京』(河合雅司氏との共著)『空き家問題』『なぜマンションは高騰しているのか』(いずれも祥伝社新書)など。

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