「退職金でリフォーム」50代が陥る"終の住処"の罠――"通勤前提"に考えて買った住まいのままでいいのか?専門家が語る正しい選択とは
日本の会社の仕組みは、実にうまくできています。
年齢が上がってくると、そろそろ退職後のことを社員は考えるべき。もういつまでも会社はあなたの面倒を見ることができなくなる。だから役職をつけずに、もうがむしゃらに働くことを求めなくなります。もう子どもも育ったろうし、住宅ローンの残高も残りわずかだろう。だから給与は下げても大丈夫。夫婦2人が暮らせる分だけ支給すれば十分と考えるのです。
サラリーマンとしての残存期間は5年から10年。「今までのご苦労に報いる」などと、会社は都合の良いことを言いますが、本音は「早く席を若手に譲れ。嫌なら出て行ってくれ」というものです。
こうした会社の問いかけに敏感な社員の中には、早期退職制度を利用して、少しばかり上積みされた退職金を手に新たな道に進む人が出てきます。有能な人にとっては、確かに新たな世界への旅立ちです。
ところが、1つの会社だけにひたすら忠誠を尽くしてきたような人は、その場の感情で退職してしまうと、社会に出て、自身がまったくどこからも求められていない「ただのおじさん」であることに気が付くのに、そう多くの時間を要しません。
自分に外で頑張れるような能力がないと自覚している人ほど、社内で目立たずそっと息をして、定年退職を迎える道を選択します。
退職金で何をしよう
さて長年会社に勤め、役員になることができなかった人にとって唯一の楽しみが退職金です。会社人生最後にやっと受け取ることのできるご褒美。私の周りでも、退職金で何をしよう、と構想をめぐらしている人がたくさんいます。
夫婦水入らずに旅行をしよう。ゴルフ三昧の生活がしたい。昼から飲むぞ、などという豪快な人もいます。
でも多くの場合、そんな作戦程度で定年後の有り余る時間、時計の針がなんだか妙にゆっくり動くようになった毎日を、満足に埋め尽くすことはできません。
夫婦旅行では水入らずどころか途中でけんか、毎日ゴルフが幸せかといえばおカネもかかるし、スコアは伸びないし、飛距離は落ちる。昼間の酒に付き合ってくれるのは昔の上司。いまだに上下関係を強要されて、ときには嫌な思いもする。
そこでもう1つ思いつく格好の暇つぶしが、家のリフォームです。
子どもが小さかった頃に買った家、またはマンションもそろそろ築20年から30年。主の居なくなった子ども部屋は完全な物置状態。子どもが置いていった荷物の整理もできていない。タンスの中には大量の子どもの服。学習机もいまだに部屋を占拠している。



















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