「退職金でリフォーム」50代が陥る"終の住処"の罠――"通勤前提"に考えて買った住まいのままでいいのか?専門家が語る正しい選択とは

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退職を機に、退職金を元手にリフォームしよう。ありがちな発想です。

もちろん自分が気に入った家で、老後もずっと住み続けたいと思うような家であれば、家族構成が変わるのを機に内装や設備を一新しようというのは悪くない考えです。

ただ、昨今の建築費の高騰はリフォーム費用にも大きく影響しています。キッチンやバス、洗面台、トイレなどの住設機器の値上がりは凄まじく、数年前の費用の倍になることも珍しくありません。

リフォームを構想すること自体は楽しいもの。夫婦で新しい生活を夢見てショウルームを巡るのもよいでしょう。でも、限られた予算でできるリフォームは、ともすると中途半端なものになります。内装デザインも当初は新鮮でも、ものの半年も経つと日常の風景になります。

そんなことよりも、家の中で過ごす時間はサラリーマン時代と比べて圧倒的に増えますので、リフォーム効果だけでは、老後の生活が豊かなものになるとは限りません。

「75歳くらいになると施設に入所するのでそれまでを恙(つつが)なく」

多くの人たちの思考回路です。でも、まだあと20年もあります。リフォームするだけで、今の家でずっと時間を使っていくことが、本当にこれからの時間を過ごすのに適切なのでしょうか。

本当は「どこに住みたいか」

それよりも、今の家を選択したときの状況を思い起こしてみてください。

家を買った当初は、「会社に通勤するのにどのくらいの時間がかかるか」が最大のポイントだったのではないでしょうか。勤め先のある新宿に何分かかるかが重要。電車は急行を利用できる。乗り換えは2回まで。駅から家までは徒歩10分以内などなど。

現在の条件はどうでしょうか。まだ嘱託社員として会社に行かなくてはならなくとも、早朝深夜まで会社ですごすこともほぼなくなったはずです。

これから残された高齢者施設に入るまでの時間を過ごすのに、本当はどこに住むのが良いのかを考えてみるのも素敵なことです。人生のステージが変わるのに、その舞台が30年も前に踊ろうと決めた舞台のままというのも味気ないものです。

自分がこれからやりたいことも、住まいを変えることによって実現できるようになる。例えば海の近くに住んで、海街での生活を満喫する。今こそ自然豊かな山里で畑を持って、思う存分野菜作りに挑戦する。

会社での生活を懐かしんで同じような人と相変わらず、同じような価値観でつきあっていくのも悪くないかもしれませんが、所詮「牛の反芻」に過ぎないような気もします。

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