新規出店する際にも、まず「どこで作るか」から設計する。30分以内をメドに惣菜を届けられる距離に店舗が作られているのだ。出店戦略とセントラルキッチンの配置は、セットで考えられている。
店内調理であれ、サテライトキッチンからの配送であれ、「シズル感を意識する」という北川社長の思いがこもっている。
「安くておいしい」は、物流の設計にまで及んでいた。
データで無駄を減らす
意外と知られていないが、トライアルはもともとIT企業だ。1974年に福岡市内で開業したリサイクル店が発祥だが、84年にPOSシステムの開発業に転換。その後、米ウォルマートの手法を学び、92年にディスカウントストア1号店をオープンした。データを経営に生かすことは、トライアルのDNAなのだ。
その姿勢は、惣菜事業にも色濃く表れている。トライアルでは、時間帯別・店舗別の販売データを細かく分析し、「いつ、何が、どれだけ売れるか」を予測している。そのデータをもとに、補充や調理のサイクルを設計しているのだ。
午前中はおにぎりなどの軽食、昼どきは弁当類が中心、夕方になると温かい惣菜が増える。この品揃えの変化は、経験則ではなくデータに基づいている。適切な時間に、適切な量を届ける。その仕組みが、緻密に設計されているのだ。
また、時間帯に応じて自動的に価格を変更する「自動値下げ」の仕組みも導入されている。フードロスの削減と、値下げ作業にかかる人手の省力化につながっているという。
さらに現在は、AIを活用した需要予測にも挑戦している。天候やイベント、周辺の人の流れなどを加味して、「明日はこれが売れそうだ」を予測する取り組みだ。メニュー開発においても、データは活用されている。世のなかのトレンドやメーカー・商社からの情報を常に収集し、「次に何を作るか」の判断材料にしているという。
フードロスの削減、人手の効率化、そして商品開発――。データを多角的に活用することが、「安くておいしい」を支える土台になっている。IT企業として始まったトライアルならではの強みが、惣菜売り場にも反映されている。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら