299円のロースかつ重は、こうした全体最適の積み重ねの上に成り立っている。
「近くで作る」出店戦略
ほんのり温かい惣菜を手に取りながら、いつも気になっていた。トライアルの惣菜は、どこで作られているのか。北川社長に尋ねた。
半分以上が、店舗のバックヤードで作られているのだ。
数字の意味を、私は店頭で実感していた。スタッフがロースかつ重を売り場に並べはじめると、どこからともなくお客さんが集まってきて、あっという間になくなっていく。並べられたかつ重を手にとると、ほんのり温かい。
私が通う店舗でスタッフに聞いたところ、1回の製造で限られた個数しか作れないため、できた分から売り場に並べ、並んでは売れていくそうだ。この仕組みによって、温かい惣菜が常に売り場にある状態が生まれていた。スーパーで温かい惣菜を手に取れる。当たり前のようで、実はありがたいことなのだと気づかされた。
ちなみに、今東京出展で話題の「トライアルGO」は小型店であり、バックヤードにキッチンはない。ではどうしているのかというと、セントラルキッチンを店舗の“近く”に配置する「サテライト方式」を採用している。セントラルキッチンとは、複数の店舗に供給する調理施設のことだ。西友との統合によって得た店舗をサテライトキッチンとして活用している。
実は、調理施設と売り場の“近さ”に、トライアルGOのこだわりがある。
遠くの工場で作れば、物流に時間とコストがかかる。届くころには冷め、出来立ての温度や見た目――つまりシズル感が失われてしまう。近くで作ることで、鮮度と品質を保ちながら、物流コストも抑えられる。「安くておいしい」の両立は、ここでも実現されていた。


















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