工場を「働き方改革」の最前線に──イトーキが滋賀で実証した人材不足時代の競争力、エンゲージメント30ポイント向上が示す意味

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新採用となるグロス塗装は黒、キャメル、ボルドーの3色を用意した。色出しには30回以上の試作を要し、特にキャメルは発売直前まで調整が続いたという。肘置きは通常のプラスチックではなくアルミダイキャストを採用し、磨いた上に塗装を施している。キャスターも小径の専用品を新規に製作した。

空間デザイナー180名、顧客提案から製品が生まれる

イトーキは社内デザイナーを4年半前の120名から180名に増員した。目標はさらに倍の360名だ。家具を売るだけでは届けられる価値に限界がある。働き方をディスカッションし、オフィスをレイアウトして提案するには、空間デザイナーの内製が欠かせない。

空間デザイナーが顧客と向き合う中で生まれた一点もののデザインが、製品化につながるケースも増えている。今回のリニューアルで3階執務エリアを担当した松木陸氏は20代。若手の登用が進んでいる。

イトーキ
3面の壁にオフィス空間を投影する「スタジオ」を新設した。等身大のサイズ感で試作を検証できる仕組みを整え、開発の精度を高めている(筆者撮影)

「ITOKI DESIGN HOUSE」のコンセプトは全国の拠点に広げる方針だ。2025年9月には上海にも開設する。オフィスがあってもファクトリーがあってもいい。家具を売る場所ではなく、働き方のショールームとして機能させる構想だ。

発表会にはビデオメッセージで三日月大造滋賀県知事が、来賓として小西理近江八幡市長が出席した。小西市長は2026年1月5日にオープンした市役所新庁舎のデザインをイトーキに相談してきた経緯を明かした。5年前から若手職員100人以上が大阪のオフィスを訪れ、フリーアドレスを導入した新庁舎はすでに他自治体からの視察を受けているという。

イトーキ
1階や2階には代表作となるチェアが展示されている(筆者撮影)

本社オフィスの改革から始まった働く環境への投資は、工場へと広がりつつある。製造業の人材確保が難しくなる中、同社は年間3000人の工場見学受け入れを目標に掲げる。自社の取り組みを発信しながら、顧客企業の工場改革も後押しする構えだ。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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