「国の借金」ばかり騒ぐ人が見落とす経済の真実 庶民を豊かにし、かつ格差を広げる「民間債務」の正体

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世界は負債で回っている
アメリカをはじめとする主要先進国では、家計と政府が最大の対極をなしている(写真:Andy Dean/PIXTA)
「政府の赤字で国が破綻し、国民は貧しくなる」という言説が絶えない。しかし、コロナ禍で起きたのは「政府の巨額赤字」と「家計資産の過去最高更新」という、一見すると奇妙な現象だった。なぜ、こんなことが起きたのか。このたび刊行されたリチャード・ヴェイグ著『世界は負債で回っている』をもとに解説する。

パンデミックで「家計の資産」が過去最高になった謎

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の危機に対し、アメリカ政府は3兆ドルに及ぶ巨額の公的資金を投じた。

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その結果、政府のバランスシートは建国以来とも言えるほど悪化し、政府の純資産は単年度で2兆2000億ドルも減少した。

しかし、同じ時期に家計の資産はどうなっていたか。驚くべきことに、家計資産は14兆5000億ドルも膨張し、史上最大の増加を記録したのである。

「政府が巨額の赤字を出せば、国が破綻し国民は貧しくなる」という通説は、この現実を前に脆くも崩れ去る。

むしろ現実は逆だ。

政府が損失を被ることは、家計というマクロ部門の純利益や純資産の増加と表裏一体だったのである。

このパラドクスを理解するためには、政治的な議論で常に悪役とされる「政府の借金」ではなく、経済の真の支配者である「民間債務」に目を向けなければならない。

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