世界が戦争に向かった1926年と2026年の状況があまりに似ている理由、世界は民主体制を維持できるのか、独裁体制が相次ぎ出現するのか

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日本国内では軍縮、移民法、恐慌といった不満がたまっていたこともあり、満州事変のみならず、中国への戦線拡大をむしろ歓迎する動きが拡大する。やがて軍部が強くなり、それに対する批判の声も、繰り返されるテロ行為とそれに対する国民の支持の下、沈黙を強いられる。

当時の衆議院議員であった弁護士・政治家の斎藤隆夫(1870~1949年)は、国際連盟が無力であることをこう国会で嘆く。

「ヨーロッパ戦争が生み出しましたところの国際連盟、世界平和を目的としているところの国際連盟も、国家競争の前には何らの威力も発揮することが出来ない。如何なる条約も力の前には蹂躙せられてしまうことは、昔も今も変わりない。今日国際関係を支配するところのものは、正義の掛け声でもなければ、道義の観念でもない。世界を支配したるものが力であるごとく、今日の世界、明日の世界を支配するものもまた力である」(斎藤隆夫『回顧七十年』中公文庫、1987年、226ページ)

アメリカは民主国家を続けられるか

こうして第1次世界大戦以後に作られた法による国際秩序は崩壊し、再びその国際秩序が戻ってくるのは、第2次世界大戦後の1945年のことである。それは国際連合という新たな組織であった。これはとりわけ戦後の世界を支配したアメリカ合衆国の力によるところ大であった。

しかし2026年の今、戦後体制は大きな変化の時を再び迎えようとしている。大恐慌が国際連盟を崩壊させたように、リーマンショックが再び国際連合を崩壊させるきっかけとなったのかもしれない。第2次世界大戦後に作られた国際体制も、再び崩壊しようとしている。それはとりわけその成立の立役者であったアメリカ合衆国のトランプ政権が、国際法を無視し始めていることからもわかる。

2026年という今年、世界はその80年の体制を崩壊させてしまうのか、それとも再び秩序を立て直すのか。それが今後の世界の大きな課題であろう。経済も、法律も、政治も、人間のいとなみである以上、完璧なものではない。

民主主義の祖国として世界を牽引してきたアメリカ合衆国で、民主主義を踏みにじる独裁者が出現するのか、それともそれが阻止されるのか。ヒトラーも合法的選挙で選ばれ、そのまま独裁体制を敷いたという史実は決して忘れてはなるまい。一歩間違えば、あのアメリカでさえ独裁者の国になることはありえるのだ。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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