「地蔵目的で商店街に金を落とさない」「低速エスカレーター」観光地化が進むも「谷根千ほどではない」街の底力

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「巣鴨通り商店街はとても活気のあるいい商店街です。でも、場所によってはシャッターが降りっぱなしの物件もありますね」(小池さん)

小池武次さん
テセフ株式会社代表・小池武次さん(筆者撮影)

言われてみるとその通りだ、巣鴨の駅から遠ざかるに連れ、商店街はだんだんと静かになっていく。

「駅を出て、商店街に入って、そこからお地蔵さんまでの100mほどは、今後も活気は続くと思いますよ。でも、そこから先はどうなるか誰にもわからない。実際、お地蔵さんまでの通り沿いの店の家賃は、高いところで坪単価が7万円くらいになるところもあります。

ただし、それを過ぎると、ガタッと安くなる。それでもやっぱり巣鴨は全国的にも有名なので、訪ねてくる人は多いです。最近では海外からのお客さんも増えています。そういう意味では、チャンスの多い街とも言えますね」(小池さん)

お地蔵さんまでの賑わいと、そこから先の静けさについては、前出の千葉さんも言っていた。

「僕が住んでいる13年間でも、業態が何度も変わった”鬼門”みたいな場所もありますね」(千葉さん)

巣鴨の夜が早い理由

不動産屋の小池さんが続ける。

「私は生まれも育ちもこの界隈です。巣鴨の商店街は4日、14日、24日と、4のつく日は昔から縁日なんです。子どものころはこれが楽しみでね、毎回お祭りみたいな感じだった。当時は夜遅くまでやっている店も多かったけど、最近の巣鴨は店を閉めるのがだんだんと早くなってきてるんです。夕方の6時くらいを過ぎると、すっかり静かですね。それはちょっと寂しいかな」(小池さん)

巣鴨の夜が早いのは、現地に行ってみて私も感じた。商店街にある店の人に、それとなく聞くと、「観光客相手の店は、閉めるのが早いからそう感じるのだろう」と話してくれた。「そもそも観光客はお地蔵さんを拝むのが目的だから、商店街にあんまりお金を落とさない。だから店も早く閉めるんだよ」と、そんなことも言っていた。

とはいえ、巣鴨ブランドは全国的に有名だ。家賃もさぞかし高いだろうと思ったのだが、そうでもないようだ。

「商店街から一歩裏に入ると、住宅街だから、高い家賃の物件もあれば、わりとリーズナブルな物件もあります。シングルタイプなら5万円台から、30平方メートル程度のファミリータイプなら、10万円くらいから相談に乗れます。交通の便もいいし、巣鴨は確かに住みやすい場所ですよ。お年寄りに優しい街っていうのはね、誰でも住みやすい街でもあるんです」(小池さん)

そんな小池さんの言葉に心から納得した。お年寄りに優しく、観光地として知られながら、日常の暮らしがきちんと地面に根を張っている街──。それが、住むとちょっといい街、巣鴨の姿だ。

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末並 俊司 ライター

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すえなみ・しゅんじ / Shunji Suenami

福岡県生まれ。93年日本大学芸術学部を卒業後、テレビ番組制作会社に所属。09年からライターとして活動開始。両親の自宅介護をキッカケに介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了。現在、『週刊ポスト』を中心として取材・執筆を行っている。

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