「地蔵目的で商店街に金を落とさない」「低速エスカレーター」観光地化が進むも「谷根千ほどではない」街の底力

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さて、訪ねる場所は他にもある。前出、千葉さんの話。

「霊園以外にも、巣鴨には青果の東京都中央卸売市場、豊島市場があるんですよね。豊洲市場の野菜版みたいなものです。卸業者の人が買い付けにくる場所なんだけど、業者のなかには、巣鴨で小売をやっているケースもあるので、探してみるといいですよ」

豊島市場の様子

染井霊園の隣が、東京都中央卸売市場だ。今の豊島区界隈は、江戸のころは上駒込、巣鴨、池袋、長崎、雑司ヶ谷、下高田、新田堀之内の7カ村であった。ほとんどが農地で、駒込なす、巣鴨だいこん、巣鴨こかぶなど、地名のついた特産野菜が生産されていた。

当時、駒込付近のお百姓が、江戸の中心部へ野菜を売りに行く途中にあった寺の境内で休み、売り物を仕分けしたのが豊島市場の始まりといわれている。都内最古の市場であると伝えられているそうだ。

東京都中央卸売市場 豊島市場
東京都中央卸売市場 豊島市場(筆者撮影)

慈眼寺を出て豊島市場に近づくと、荷を乗せたターレーが忙しそうに行き来している。一日中街をうろついて、疲れ切った足でヨボヨボ歩いていくと、市場の西側に「菜香」の看板を掲げる会社が見えてきた。仕事始め間もない時期で、シャッターは半分しか開いていない。思い切って声をかけると、「有限会社菜香(豊島区巣鴨5-3-16)」の代表・岡本祐子さんが、気さくに応じてくれた。

「うちはそんなに古くはない会社なんですよ。1998年の創業です。母が八百屋さんをやっていて、そこで10年間修業したあとに、この会社を立ち上げました。経営は順調だったんですけど、コロナ禍で飲食店が営業できなかったでしょ。うちのような卸業はお店が商売相手だから、こっちも仕事がなくなってしまって、苦肉の策でそのころから商店街の近くで小売りも始めたんですよ」(岡本さん)

有限会社「菜香」
有限会社菜香(筆者撮影)
岡本祐子さん
菜香の代表岡本祐子さん(筆者撮影)
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