「地蔵目的で商店街に金を落とさない」「低速エスカレーター」観光地化が進むも「谷根千ほどではない」街の底力

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商店街を歩くとわかるのだが、街全体の段差が極端に少ない。車道と歩道の段差もゼロで、お年寄りにフレンドリーな造りだ。杖をついているお年寄りはもちろん、介添えのいない、車椅子の独り歩き高齢者の姿もあるほどだ。

商店街は平日でも「7:30〜9:00」「15:00〜18:00」の時間帯は車両の進入を禁止している。それ以外は普通に車が入ってくるのだが、一日中歩行者天国だと思いこんでいる訪問客も少なくない。大威張りで道の真ん中を歩いている。そんな人に対しても、クラクションを鳴らす車は皆無だ。ゆうゆうと歩くご老人たちの背後を、車がゆるゆるとついていく。そんな光景がそこかしこで見られる。これが巣鴨ルールだ。

どうして巣鴨はおばあちゃんに人気なのか

江戸時代、日本橋から中山道を出発すると、最初の休憩所だった場所に、現在の巣鴨地蔵通商店街は位置している。1891年(明治24年)に、とげぬき地蔵の高岩寺が台東区の上野からこの地へ移転してきた。

江戸時代、誤って針を飲み込んだ毛利家の女中が、もがき苦しんでいるところにたまたま居あわせた僧侶が「地蔵菩薩の霊印」を写し取った紙札「御影」を飲ませたところ、飲み込んだ針が紙札の地蔵尊を貫いて口から出てきた。高岩寺のご本尊はこのような伝説を持つ「延命地蔵菩薩(えんめいじぞうぼさつ)」だ。

実物は3cmほどの、木のふしのようなかたちをした印なのだそうだ。この印に現れた「延命地蔵菩薩の印像」が本尊ということになる。霊験あらたかで、身体の痛いところや病気のもととなるトゲを抜くといわれており、足腰が痛むおばあちゃんたちに人気が出たというわけだ。

多くの文化人が眠る街

今回、巣鴨を訪ねるにあたって、大学卒業以降13年以上この地に住む、編集者の千葉康永さん(小学館『DIME』副編集長)に話を聞いた。

千葉康永さん
小学館『DIME』副編集長の千葉康永さん(筆者撮影)

「巣鴨は地蔵通り商店街が有名だけど、それだけじゃないんですよ。白山通りを挟んですぐちかくに、都立の染井霊園があって、高村光太郎とか、二葉亭四迷などの文人が眠っています。まわりにはお寺も多くて、本妙寺には遠山の金さん(遠山景元)、慈眼寺には芥川龍之介なんかの墓があるんですよ。これを訪ねてやってくる人も多い」

文章を書いて生活している私にとって、ここに出てきた文人たちの名前はまさに「綺羅星のごとし」だ。さっそく行ってみた。

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