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トランプが執拗に欲しがるグリーンランド、その「暴言外交」のウラにある冷徹な安保上の計算

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  • 高橋 浩祐 米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
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北極海の航行は過去10年で急増しており、将来的にはインド太平洋とヨーロッパを結ぶ新たな大動脈となる可能性もある。その結節点に位置するグリーンランドは、軍事面だけでなく経済面でも戦略的価値を急速に高めている。トランプ氏の現実主義は、科学を否定しながらも、その予測がもたらす果実だけは冷酷に摘み取ろうとする点に特徴がある。

グリーンランドはデンマーク王国の自治領であり、当然ながらデンマーク政府はトランプ氏の要求に強く反発している。フレデリクセン首相は「グリーンランドは売却の対象ではない」と断言し、アメリカが強行すれば同盟関係の根幹が揺らぐと警告した。

しかし現実には、デンマークが単独で同島の広大な領域と安全を担保する能力には限界がある。アメリカ軍の関与なしに防衛体制を維持することは困難であり、主権を強調すればするほど、安全保障における対米依存という矛盾が露呈する。理想と地政学的現実の間で、デンマークは極めて苦しい立場に置かれている。

トランプ発言を笑ってはいけない理由

トランプ氏の強引な姿勢は、NATO内部の結束にも深刻な影を落としている。

フランスやドイツは、同盟国の主権を脅かす行為に強い警戒感を示し、ドイツのシュタインマイヤー大統領は「国際秩序が盗人の巣窟へと崩れ落ちつつある」と警告した。同盟内の不協和音は、ロシアや中国に戦略的余地を与える危険性をはらむ。

トランプ氏の手法は粗雑で、外交慣行を破壊しかねない。しかし、同氏が突きつけているのは、「21世紀の大国間競争において、既存の国境や秩序はどこまで維持されるのか」という根源的な問いである。

グリーンランド問題は、1人の政治家の奇矯な言動ではない。アメリカという超大国の変容を受け、国際秩序が「力と利益」によって再編されつつある現実を映し出す警告である。日本を含む同盟国にとっても他人事ではない。

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