トランプが執拗に欲しがるグリーンランド、その「暴言外交」のウラにある冷徹な安保上の計算

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その象徴が、1950年代に建設された前出のトゥーレ空軍基地である。北緯76度という過酷な環境にありながら、現在も約200人のアメリカ空軍・宇宙軍の要員が常駐し、弾道ミサイル早期警戒や宇宙監視という中枢任務を担っている。

冷戦終結後、一時はその重要性が低下したかに見えたが、ロシアの軍事的再拡張と、中国の北極圏進出を受け、アメリカは同基地を再び戦略の中核に据え直した。近年はインフラ更新や寒冷地対応能力の強化が進み、F35戦闘機の展開実績もあるなど、象徴的存在から実戦的前進拠点へと位置づけが明確に変化している。

「空白地帯」ではなくなった北極

気候変動は、北極圏の地政学的意味を根底から変えつつある。アメリカ国防総省が公表した「2024年北極戦略」は、2030年までに北極海が夏季にほぼ氷を失う可能性を指摘した。最新の研究によれば、北極の温暖化は地球全体の温暖化に比べ、4倍の速さで進んでいる。

これは単なる環境問題ではない。アジアとヨーロッパを結ぶ北極航路の本格的な商業利用、そしてこれまで経済性の壁に阻まれてきた資源開発が現実の選択肢となることを意味する。「航路開発」と「資源開発」を見越して、米中ロを中心に軍事活動が活発になり、国家間競争が激しくなっているのだ。

NATOのストルテンベルグ事務総長は2022年8月、「北極におけるロシアの軍事力強化はNATOにとっての戦略的な挑戦だ」と述べた。

ロシアは北極圏沿岸で旧ソ連時代の基地を再整備し、核搭載可能な潜水艦や戦略爆撃機の活動を活発化させている。プーチン大統領は同年7月、新たな海洋戦略を発表。北極海の支配がロシアにとって最も優先順位の高い問題であるとし、軍事プレゼンスを強めていく方針を示した。

その一方、中国も2018年に「近北極国家」を自称し、研究拠点の設置やインフラ投資、「氷上のシルクロード構想」を通じて、北極圏での影響力拡大を図ってきた。また、中国とロシアは北極圏全体で海洋活動や資源開発を中心に協力を進めており、北極海やその周辺で共同海軍パトロールや合同演習を実施している。

こうした大国間競争の只中で、北極と北大西洋を結ぶ結節点に位置するグリーンランドは、再びアメリカの戦略地図の中心に浮上している。

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