トランプ政権の「貪狼(ドンロー)主義」には「アメリカ史のDNA」が脈々と流れている

✎ 1〜 ✎ 302 ✎ 303 ✎ 304 ✎ 305
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今回のマドゥロ氏追放劇について、ドナルド・トランプ大統領自身は当初はディールによる解決を目指していた。移民の送還や麻薬取締り、そして石油取引などを引き出す狙いである。

そこでベネズエラの麻薬密輸船を爆撃するなどして揺さぶりをかけ、自発的に退陣して国外に亡命すれば麻薬容疑も恩赦に処す、と「寛大な」条件を提示したのである。対するマドゥロ氏はこれをハッタリと見なし、昨年12月23日時点で退陣提案を拒絶。その結果、年明け早々に米軍に拘束されることになったという次第である。

ベネズエラ侵攻は米国家安全保障戦略に沿ったもの

昨年末、作戦にゴーサインを出した時点で、トランプ大統領にとってはギャンブルだったことだろう。おそらく頭痛の種は、米最高裁による「トランプ関税」への判決である。本稿執筆時点ではまだ公表されていないが、たぶん政府側が敗訴するはずだ。

なぜそうなるか、という話は「保守派最高裁が相互関税に違憲判決を下す日」(2025年11月22日配信) で解説したとおり。こういうピンチを迎えたときに、新たな戦線を作って目先を逸らそうとするのはトランプ大統領の常套手段である。

ところがベネズエラ侵攻は予想を超える成功となった。トランプ大統領としては、いわば万馬券を当てたような状態だ。つい味を占めて、ほかのどの地域で軍事的冒険を試すかわからない。次に介入するのはグリーンランドか、キューバか。それとも暴動が頻発するイランか。周りの国から見たら気が気ではない。こういうときは、得てしてトランプ大統領の片言隻句が世界を揺さぶることになってしまう。

ここで思い出してほしいのは、前回の「欧州はいよいよアメリカ離れを決意しそうだ」(2025年12月20日配信) でご紹介した国家安全保障戦略「NSS2025」である。今回のベネズエラの事態は、あそこで書かれていた通りの出来事ではないか。トランプ第2期政権の優先順位は何よりも西半球。次いでアジアである。欧州や中東などはさほど重要ではない。

次ページベネズエラ急襲は「必然的帰結」だった
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事