がん、認知症、骨粗鬆症に「漢方」が発揮する意外な実力。つらい副作用や進行の不安を和らげ"予防"に貢献、記憶力改善に期待も

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また、認知症によって口数や行動が減る「陰性症状」で、三度の食事に手をつけなくなるケースがあります。しかし、胃腸の働きを促進する六君子湯を用いたところ、本能的な食欲に作用して食事を摂るようになったという例も報告されています。

体質改善で骨粗鬆症を予防する

骨粗鬆症は、骨密度が低下し骨がもろくなってしまう病気で、加齢とともに発症リスクが高まります。骨折しやすくなり、特に高齢者は、転倒による骨折が寝たきりの原因となることも多い深刻な疾患です。

漢方では、骨粗鬆症を単なる骨の病気ではなく、体全体の「蓄える力」の低下として捉えます。「腎虚」(体に必要な成分を蓄える力の低下)の症状のひとつです。ミネラルが蓄えられずに骨がスカスカになり、栄養分が身にならない状態になります。

この場合、腎虚改善の代表薬である八味地黄丸(はちみじおうがん)が、骨粗鬆症を含む加齢現象の進行を遅らせる効果が期待されます。ちなみに、腎虚は女性で閉経後、男性で50歳からスタートするため、症状の有無に関係なく、この時期を過ぎたら八味地黄丸を飲むことをおすすめしています。

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繰り返しになりますが、漢方は、がんや認知症や骨粗鬆症を直接的に治すアプローチはできなくても、その症状で困っている「その人」を楽にすることはできます。

実は、この「症状改善」こそが、現代医療で漢方が果たすべき重要な役割です。西洋医学が病気の原因を突き止めて治療し、漢方が体の回復力を高めて治療効果を底上げします。さらに、つらい症状や副作用を和らげ、生活の質を向上させるのです。

ですから、がん・認知症・骨粗鬆症と診断された場合でも、主治医と相談しながら、漢方の力も借りてみてください。あなたの毎日を確実に楽にしてくれるはずです。

痛みや冷えなどの症状には、大きな病気のリスクが潜んでいることもあります。症状が重い場合には、まず医師に相談して、必要に応じて治療を受けることをおすすめします。持病がある人や妊娠中の人も、かかりつけの医師に事前に相談していただくと安心です。
なお、頓服ではなく、漢方薬を数年単位で服用する場合は、安全性を確保するためにも、専門の医師や薬剤師による定期的な診察と服薬指導を受けましょう。少なくとも3か月に一度は専門家のチェックを受けることで、体調や効果を適切に管理できますし、より安心して継続していただけます。
また、「胃の不快感がある」「むくみが出てきた」「ふらつきがある」「動悸がしてきた」などの症状が出たり、その他の気になる変化があらわれた場合も、すぐに相談しましょう。
大澤 稔 医師

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おおさわ みのる / Minoru Osawa

国際医療福祉大学病院産婦人科、東北大学病院漢方内科/産科婦人科の医師。1969年、群馬県生まれ。1994年、新潟大学医学部卒業後、2001年から前橋赤十字病院産婦人科副部長、2016年からは東北大学病院漢方内科/産科婦人科にて研究・医療者向けの漢方教育に携わる。2025年、国際医療福祉大学病院産婦人科部長、国際医療福祉大学産婦人科学教授に就任。専門は閉経後骨粗鬆症の治療・管理、中高年更年期医学、漢方東洋医学。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医。日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医。日本東洋医学会専門医。サイエンス漢方処方研究会理事。臨床医としての経験に加え、自身の不調を漢方によって何度も助けられた体験から漢方に目覚め、エキスパートに。医師や薬剤師など医療者に向けた講演も多数。

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