(第49回)電気自動車への転換を中国が主導する可能性

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第一は、技術面の要請だ。ガソリン車では、中国の技術は遅れている。それに追いつくために中国政府は合弁化政策をとり、技術移転を促進させようとしたのだが、先進国の技術的優位性は変わらない。しかし、EVになれば、技術的に中国メーカーが優位に立てる可能性がある。

第二は、地方部のガソリンスタンド整備の難しさだ。広大な国土のすみずみまでガソリンスタンドを整備するには、大変な投資が必要になる。しかし、送電線ならどこにでもある。このため、都市部だけでなく地方部でもEVが必要になるのだ。

自動車産業は巨大であるがゆえに、政治と無関係ではいられない。アメリカでは、政治的圧力がガソリン車を後押ししてきた歴史がある。かつては、ロサンゼルスにおいてさえ路面電車があったのだが、いまでは跡形もない。これは、石油資本が鉄道会社を買収して路線を縮小・廃止したためと言われる。比較的最近では、GMが96年にEV1という電気自動車をリリースしたにもかかわらず、撤退したという不可解な事件があった。この陰に、石油業界の圧力があったとも言われる。中国では、政治的要因がアメリカとは逆方向に作用しようとしているわけだ。

EVの技術体系は、ガソリン車のそれとは大きく異なるものになる。

エンジンがいらないので、金型や鋳造、工作機械の多くが不要となる。トランスミッションというメカニカルにきわめて複雑な装置がいらなくなる。こうして、これまで自動車メーカーが蓄積してきた技術体系が有効性を失う。

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