実は僕も先代に同じことをされたことがあります。うちの強みである「TONIC」というオンラインシステムの提案を取締役会で2回却下されているんです。
当時は、機械を壊されたり電源系のトラブルがあったりしても、現場に行かないとその駐車場の状態がわからなかった。そんな状態で拡大していったら管理ができなくなるという恐怖心からオンライン化を発想したわけです。
せっかくオンライン化するのであればマーケティングなどもできるようにしたい。ただ、それを前提に見積もると、初期投資が35億円、その後毎年2億円以上追加でかかるということがわかりました。
みんなも必要だとわかっているので否決はしないけど、当時の純利益は24億~25億円だったので承認してくれません。費用対効果を算出するにしても鉛筆をなめる世界で、1%の稼働率が上がればこれだけ利益が出るという根拠を示すことができませんでした。
それでも、「絶対これをやらないとダメなんです」と言い続けたんです。1回目も2回目も先代は黙っていましたが、3回目にして「そこまで言うならやってみろ」とゴーサインを出してくれたんです。
このシステムを作るに当たってはコンビニのPOSを参考にしました。昔は駐車場周辺の相場を経験則からくる勘で予測していたのですが、何か分析する方法があるはずだと思っていたからです。
でも、コンビニはレジを通るときに年齢や性別を入力できますが、無人駐車場ではそれができません。つまり、オンライン化で駐車場から見たマーケティングはできるようになっても、ユーザーサイドのマーケティングはできないんです。