「放送100年」に迎えた"テレビ局の時代"の終焉、フジ凋落・ダウンタウンプラス躍進・ネトフリ攻勢が示唆する2026年《放送から配信へ》の奔流

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そのタイミングで聞こえてきたのが、アカデミー賞授賞式の中継が29年にABC(放送局)からユーチューブ(配信)に移るというニュースだ。これも同じ流れといえよう。長年中継してきたABCが、今後は高い放送料を払えないとさじを投げた格好だ。

「NHK ONE」で「放送から配信へ」の流れに乗るはずだったNHKは、ネットでは「放送と同一の情報」に限定してしまったうえ、ネットだけで見られるコンテンツをすべて閉鎖した。さらに「NHK ONE」は事実上スクランブル化し、放送でNHKになじんでいない層がフリーミアム的に試す門を固く閉ざした。

現実としては、ネットが放送の補完業務に後戻りしてしまった。「放送から配信へ」の流れを拒否した、今どき不思議なメディアになってしまった。

『果てスカ』大コケが示唆する局ゴリ押しの賞味期限

『国宝』がテレビにほとんど頼らず、作品の力だけで興行を踏ん張り続けた結果、テレビ局映画の金字塔『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』が打ち立てた実写邦画の興収記録を塗り替えたのも、放送の終焉を象徴する出来事だったと思う。

同じタイミングで『果てしなきスカーレット』が大コケしたのも、テレビ局が推すアニメ作家なら何でもヒットする時代ではなくなったと解釈できる。この作品がゴリ押しとは別の文脈で世の中に出ていたら、評価も違ったかもしれないと思うと残念だ。

スカーレットへの批判
SNS上には『果てしなきスカーレット』に対する厳しい内容の投稿が目立つ(画像:Xの投稿より)

「放送の終焉」が遠い未来の出来事ではないとはっきりした。今後、コンテンツは配信へ向かう。この流れを拒むメディアは、遠からず消滅してしまうだろう。これまでのビジネスモデルを配信にうまくシフトできたメディアだけが残る。

旧態依然たる態勢で無駄な議論をしていても、流れに乗れず、座礁するだけだ。来年からはその成否が明確に分かれていくだろう。

境 治 メディアコンサルタント

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さかい おさむ / Osamu Sakai

1962年福岡市生まれ。東京大学文学部卒。I&S、フリーランス、ロボット、ビデオプロモーションなどを経て、2013年から再びフリーランス。エム・データ顧問研究員。有料マガジン「MediaBorder」発行人。著書に『拡張するテレビ』(宣伝会議)、『爆発的ヒットは“想い”から生まれる』(大和書房)など。

X(旧Twitter):@sakaiosamu

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