「放送100年」に迎えた"テレビ局の時代"の終焉、フジ凋落・ダウンタウンプラス躍進・ネトフリ攻勢が示唆する2026年《放送から配信へ》の奔流

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放送収入の元どおりの回復はないだろうと私はみている。清水賢治社長が示す改革プランにも、「IP(知的財産)を軸にバリューチェーン全体でマネタイズ機会を拡張」とあり、放送だけではないコンテンツビジネス拡大を目指している。

だが、制作費がみるみる下がっている状況では、面白いコンテンツを生めないのではないか。今のフジテレビに、新しいビジネスモデルを走らせる気力・体力があるようには感じられない。

フジテレビ社屋
制作費が減少する中でフジテレビはコンテンツビジネスを拡大できるのか(写真:ブルームバーグ)

そんな中、旧村上ファンド系の投資会社がフジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスの株式を最大で33.3%まで買い増す意向を表明。フジ側は12月22日、株式取得の目的などの説明を求める「情報リスト」を公表した。24日には旧村上ファンド側がTOB(株式公開買い付け)の条件を公開し、来年は両者の駆け引きが本格化していくことになる。

放送法では、放送免許を持つ放送局会社を傘下に持つ認定放送持株会社について、単一株主が3分の1以上の株式を保有することを制限している。旧村上ファンド側はあくまで不動産事業の売却を迫り、株主として利益を得るのが狙いだ。だが、メディア事業の赤字が続いている状況下では、安定した収益源である不動産事業を手放せない。

フジテレビは駆け引きの末、体力を削がれるのではないかと危惧する。他局に先駆ける形で、フジテレビが「放送の終焉」に近づくのかもしれない。

吉本が本腰を入れ始めた「脱テレビ局」の動き

サービス開始から20日間で50万人の会員を獲得し、好スタートを切ったダウンタウンプラス。その後はさらなる会員数の増加に関する報道はないが、吉本興業以外の事務所から所属タレントの出演を売り込むオファーが盛んに来るなど、話題は尽きないようだ。

吉本は8月に数十億円規模のコンテンツファンドを組成。そこで調達した資金があるからこそ十分な制作費が賄えたという。このファンドの組成目的は、テレビ局から受託する立場から脱し、IPホルダーに転換することだ。

吉本は10年代から、テレビ頼みのビジネス構造からの脱却を意識し、Amazonプライムビデオで「ドキュメンタル」を制作・配信するなど、新たな取り組みを始めていた。さらに飛躍するためにファンドを組み、いいタイミングでダウンタウンプラスを開始した。

今後はダウンタウンプラスをグループ全体の1つのウインドウにしていく考えだろう。吉本の戦略はまさに「放送から配信へ」であり、テレビ局からIPで自立するものだ。今後のタレント事務所の1つのモデルとなるかもしれない。

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