「放送100年」に迎えた"テレビ局の時代"の終焉、フジ凋落・ダウンタウンプラス躍進・ネトフリ攻勢が示唆する2026年《放送から配信へ》の奔流

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ネットフリックスのWBC独占配信について、スポーツ文化の縮小を憂う声がまだ聞こえる。テレビでの放送がないことは「独占配信」が発表された時点でわかりきったことなのに、つい先日も今知ったかのような通信社の「地上波放送はなし」の記事がバズっていた。

野球中継はこの20年間で地上波放送が大きく減ったのに、各球団のファンは減っていない。地上波放送と野球文化の盛衰を関連づけるのは無意味な議論だ。

ネトフリ幹部
10周年イベントで登壇したグレッグ・ピーターズ共同CEO(写真:ネットフリックス)

それよりこの件で注目すべきは、ネットフリックスの広告事業だ。私は意図的に広告プランに加入しているが、この半年で広告を見る機会がはっきりと増えた。広告枠のセールスが軌道に乗り始めた証しだ。

WBC独占配信では、広告がつかないプレミアムプランでもCMが流れる。野球中継は攻守の交替時などCMとの相性がいいので気にならないだろう。莫大な視聴数になるのは間違いなく、ネットフリックスにとって格好のビジネスチャンスになる。特別なCM企画も含めて、高額の広告取引が行われるはずだ。

ネットフリックスにとっては今後の広告事業拡大の起爆剤になるに違いない。これまで、地上波テレビの視聴者をじわじわ奪ってきた彼らが、今度はスポンサーも奪いに来るかもしれない。

WBC独占配信は、ネットフリックスが既存メディアの明確な競合になる“のろし”なのだ。そしてまた、広告費が放送から配信に流れるきっかけともいえる。

ネトフリのWBD買収が示唆する転換点

そのネットフリックスがアメリカでは、WBDの主要部門を買収合意した。ドナルド・トランプ大統領の介入で決着するのは時間がかかりそうだが、はっきりしているのはWBDから映画事業と配信事業が分離し、ディスカバリー・グローバルと呼ばれるネットワーク部門が残るという方向性だ。

ネットワーク部門はCNNをはじめとして、主にケーブルチャンネルで構成される。ケーブル契約がどんどん減少する中で、各チャンネルは厳しい道を歩まざるをえない。ここでも、成長性が見込める部門からケーブルチャンネル(≒放送)の終焉が見え始めている。

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