仕事・家族・お金……"心配が止まらない"のは性格でなく病気?【判定リスト付】日本人の推定約120万人が抱える「全般不安症」のサイン
うつ病と全般不安症に共通する症状には、以下のようなものがあります。
どうして全般不安症が見逃される?
患者さんが医療機関を受診したとき「毎日不安で仕方ないです」「不安が強くて心配をやめられません」などと訴えれば、医師は全般不安症を疑うと思います。
けれども、「どうにも疲れやすいです」「仕事に集中できません」「夜、眠れません」などというときには、うつ病と診断される可能性が出てきます。
実際には、うつ病と全般不安症を併発している人もいるのですが、「気持ちが落ち込んで、いろいろ不安になってしまう」という症状に対して、うつ病だけ診断され、全般不安症は見逃されてしまうケースがあります。
全般不安症だけどうつ病と診断された人、うつ病と全般不安症を併発していてうつ病だけが診断された人は、「抗うつ薬」での治療、主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)というカテゴリーの薬を服用して治療していくことになります。
ただ、実際には同じ薬が全般不安症の治療にも使われています。薬に限っていえば、どちらの診断をしても困りません。
「どちらにしてもSSRIやSNRIを処方するのだから、うつ病と診断しておけばいい」と考える医師もいるため、ますます全般不安症が見逃されてしまうわけです。
全般不安症が見逃されると、うつ病と診断された人の一部で「病気が治りにくい」
という問題が起こり得ます。
不安を改善するための治療法を行わず、うつ病の治療だけなので、なかなか治らないということになるわけです。
こうした状況に心当たりがある人は、全般不安症の可能性を疑ってみてほしいです。
現状では、うつ病がとても有名な病気でメンタル不調の代表格なのに対して、あまり知られていない全般不安症は、軽く見られがちに感じます。「不安って病気なの? 誰でも不安は感じているでしょ」などと片づけられがちです。
けれども、2022年に出された最新のアメリカ精神医学会の診断基準DSM‐5-TRでは、うつ病の中で、特に「不安性の苦痛を伴ううつ病」というサブタイプが診断されるようになっています。
うつ病のうち、強い不安の症状を持つ病態が、不安のないうつ病に比べてより重症で、薬物療法で治りづらい傾向があるため、注目されています。
治療が必要なのは、憂うつで気持ちが落ち込むといううつ病の症状だけではありません。心配がやめられず、苦しい不安の症状に対しても、「全般不安症」や「不安性の苦痛を伴ううつ病」の診断のもとに、治療の必要があることをもっと知ってほしいです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら