午後4時に帰るのに"効率性"世界一、デンマーク人に学ぶ「自己啓発書より小説、寝るより運動」という休み方が合理的である理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

孤独から解放された環境で「集中力」が必要とされる活動に取り組むからこそ、雑念を完全に取り払うことができるのです。

1人で楽しむ没頭活動といえば、多くのデンマーク人が「読書」の効用を挙げています。

グローバル企業で管理職を務めるクラウスは、冬にはよく音楽を聴きながら読書をしているそうです。

「スマホを見ても疲れがとれないけど、読書はいい。受け身ではなくて、積極的に頭を使うからだと思う」

「読書時間」で頭が休まる

デンマーク人の休む哲学~幸福度も生産性も「いいとこどり」する習慣
『デンマーク人の休む哲学~幸福度も生産性も「いいとこどり」する習慣』(大和書房)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

面白いことに、頭を使ったほうが、実は頭が休まるというのです。

読書の効用については、多くのデンマーク人が語ってくれましたが、驚いたのは意外と「古典」を読むということです。

クラウスは忙しいビジネスパーソンでありながら、ドストエフスキーやトルストイ、ヘミングウェイの小説を愛していて、最近は村上春樹の『1Q84』を読んで面白かったと言います。

映画業界のマリアも読書が大好きで、やはり世界の古典もよく読むそうです。クリエイティブ業界のマリエ・ルイーセもエヴァも、小説好きです。そういえば、私の義母もよく読書をしていますし、義姉と夫は、最近よくオーディオブックを聴いています。

スマホの登場で「読書離れ」「出版不況」といわれて久しい時代、デンマークでも同じ傾向はあります。けれど、けっこう忙しそうな一流のビジネスパーソンやクリエイターが長編小説や古典を読む「読書時間」をしっかりつくっていることに驚きます。

実は、デンマークで売れる本は、ビジネス書や自己啓発書よりも長編小説です。デンマーク人は、今すぐ仕事でも活かせる即効薬としての読書よりも、人生の喜びや教養としての読書を好みます。仕事のための読書ではなく、「人生のための読書」をするのです。

針貝 有佳 デンマーク文化研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はりかい ゆか / Yuka Harikai

デンマーク在住。1982 年生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科にてデンマークの労働市場政策「フレキシキュリティ・モデル」を研究して修士号取得。2009年末にデンマーク移住後、現地情報を発信。著書に、『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』『デンマーク人はなぜ会議より3分の雑談を大切にするのか』(ともにPHPビジネス新書)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事