「医者の言うことを聞きすぎなければよかった」…高齢患者の死の間際を見てきた医師が語る「とくに多い最期の"後悔"」

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とくに60代以降は、日々の楽しみがその人の元気や生きる意欲と直結しています。好きなことをやめた結果、気力が落ち、免疫力や抵抗力まで下がってしまうというケースも珍しくありません。さらに、極端な食事制限によって栄養バランスが崩れ、かえって体調を悪くすることはとても多いのです。

しかし、このようにいうと、「それでも、健康的な生活のほうがいいに決まっている」と反論する人もいます。たしかに、血圧を下げる、脂肪を控える、コレステロール値を下げるといった生活習慣の改善は、心筋梗塞や脳卒中の予防につながります。

「血圧・コレステロール」を医者が指導する理由

ただし、ここで改めてお伝えしておきたいのは、日本ではがんで亡くなる人が圧倒的に多いという事実です。

この数十年、日本人の死因の第1位はずっとがんが占めています。直近の厚生労働省の統計(2022年)でも、亡くなった方の24.6%──およそ4人に1人が、がんで命を落としているのです。これは、急性心筋梗塞で亡くなる人の約12倍、また出血性の脳出血で亡くなる人の約12倍という数です。

「脳卒中を防ぐには塩分を控えたほうがいい」「メタボになると心筋梗塞になりやすくなる」「コレステロール値が高くなるから油物は控えて」などと医師に言われて、血圧やコレステロールの数値をずっと節制してきた人が、最終的にはがんで亡くなってしまうというケースも少なくありません。

なぜ多くの医者がそのように指導するのかというと、アメリカでは心筋梗塞で亡くなる人が日本よりはるかに多く、その分のエビデンス(科学的根拠)が豊富だからです。また脳卒中についても同様に症例数や研究規模が日本より大きく、多数のエビデンスも存在します。

しかし、アメリカと日本では人々がかかりやすい主な病気や死因の割合が違いますし、多くの人の体型や食生活も違います。アメリカでは、血圧を下げたほうが脳卒中が少ないということについて統計上の根拠があるけれども、日本では大規模調査が行われていません。日本人のエビデンスは十分ではないのに、アメリカでの調査結果をそのまま受け入れ、日本の医者たちは患者の血圧を下げようとし続けているわけです。

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