「住みたい街ランキング」常連、渋谷から5分の《三軒茶屋》はなぜ人気が落ちたのか…歩いてわかった"おしゃれな街"から"使われる街"に変わった訳

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三軒茶屋
駅近にある24時間営業の西友。暮らしの頼もしい味方だ(写真:筆者撮影)

三軒茶屋と下北沢・東北沢を結ぶ茶沢通りへ足を伸ばしてみると、スーパーやパチンコ店、精肉店やパン屋など地元に密着した店が軒を連ねる。意外にも庶民的な風景だが、しばらく進むと徐々にカフェやセレクトショップが見えてきた。

三軒茶屋
太子堂中央街まで歩いてみると、雑多な印象が落ち着いた住宅街になってくる(写真:筆者撮影)
三軒茶屋
まさに「おしゃれ」なカフェやバルの姿も(写真:筆者撮影)

駅周辺はチェーン店が多く、雑多で生活感の強い印象を受けた。しかし、少しずつ駅から離れていくと、アパートの2階にひっそりと人気のカフェが入っていたりと、外からは見えにくい形で「おしゃれさ」が現れてくる。

ここまで実際に歩いてみて感じたのは、三軒茶屋は駅前が「カオスな生活感」を担い、周辺部が「カルチャー」を受け持つ構造で成り立っているということだ。

取材当日、編集者と街を歩く中で、芸能人御用達とされる飲食店が想像以上に多いことも知った。華やかさを前面に押し出すわけではないが、食を軸に人を引きつける力が強く、三軒茶屋が「食の街」として支持されてきた理由を肌で感じた。

三軒茶屋のおしゃれなイメージは後付けだった?

そもそも、三軒茶屋が「おしゃれな街」として定着したのはいつ頃のことなのか。イメージの変遷をたどると、そこには時代の価値観が街を再定義してきた過去が見えてくる。

まず90年代、街の人気を決めていたのは「ファッション」だった。下北沢や代官山といった街に若者が集まる中、三軒茶屋はまだその圏外。『東京ウォーカー』(98年8月25日号)の「人気タウンランキング」を見ても、三茶は「住みたい街」ではなく、あくまで「遊ぶ・食べる街」としての評価にとどまっている。

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