会議が大炎上…「説明しても理解できます?」説明責任を放棄した《技術責任者》の根本的な勘違い
「そもそも開発が遅延しているのは経営課題になっているわけでしょう。それを誠実に説明するどころか、こっちが技術がわからないと思ってけむに巻くだなんて、とても責任者の態度ではないですよ」
他の幹部陣も憤っていたものの、誰も技術の詳細には詳しくないため、反論もできず議論は空転。会議はまったく前に進まなかったという。
このように「専門性を隠れ蓑にする人」というのは、組織において非常に厄介な存在だ。言っていることが本当かどうかもわからないし、いざ裏を取ろうとすると膨大な時間がかかる。
実際にこのA氏は、外部からスペシャリストを呼んで調査に当たってもらい、5カ月もかけて開発の実態を明らかにしていったそうだ。
今回は、このような「専門性を盾にする人」に対抗する手段とともに、今後はAIによって、こうした困った人たちが駆逐されていくメカニズムについて解説する。
なぜ「専門性を隠れ蓑にする」のか
まず、なぜこのような態度をとる人が生まれてしまうのか、その構造を理解する必要がある。理由は主に2つ。「評価を下げないための保身」と「専門性というブラックボックスの悪用」である。
1つ目の「保身」は組織の力学によるものだ。誠実に「自分の能力不足で遅れています」と説明すれば、当然評価は下がる。
それなら、専門用語を並べて「技術的に不可避な問題だった」とうやむやにしたほうが、自分の傷は浅くて済む。そう考えてしまうのだ。
2つ目は、自分以外のメンバーが理解できない「ブラックボックス」を利用して、無敵の状態を作っていることだ。
それなりの経験を積んだ専門家であれば、周囲の理解度とのギャップが大きいことを知っている。そのため、多少おかしな理屈を言っても「どうせ突っ込まれない」と高をくくっているのだ。
誰も検証できない聖域を作り出し、そこに逃げ込んでいるのである。


















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