日銀が政策金利を0.75%程度に引き上げることを全員一致で決定、金利は30年ぶりの高水準に
日本銀行は19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%程度に引き上げることを全員一致で決めた。30年ぶりの高水準となる。今後も利上げで緩和度合いを調整していく政策正常化路線を継続する。
政策金利の無担保コール翌日物金利の誘導目標を従来の0.5%程度から0.25ポイント引き上げた。新日銀法施行前の1995年以来の高水準となる。利上げは1月以来で、植田和男総裁の体制で2024年3月にマイナス金利を解除して以降では4回目となる。
今後の金融政策運営については、現在の実質金利は「極めて低い水準にある」と指摘。その上で、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、その改善に応じて引き続き利上げで金融緩和の度合いを調整していく方針を維持した。
利上げ後も緩和的な金融環境が維持されると説明。「引き続き経済活動をしっかりとサポートしていく」とした。
ブルームバーグが5-10日にエコノミスト50人を対象に実施した調査では、全員が今会合での利上げを予想していた。
日銀による金融政策の正常化が約1年ぶりに再開したことで、今後の利上げペースと昨年からの利上げ局面で政策金利がどこまで引き上げられるかが新たな焦点となる。植田総裁が午後の記者会見で、先行きの金融政策運営についてどのような見解を示すかに注目が集まっている。
会合結果を受けて、円は対ドルで156円台に下落。利上げは予想通りとの受け止めから売られている。日経平均株価は上げ幅を拡大し、一時4万9700円台まで上昇した。
日銀は利上げの理由について、米国経済や各国通商政策の影響を巡る不確実性は引き続き残っているものの、「低下している」と説明。26年春闘に向けた労使の対応方針や日銀本支店を通じたヒアリング情報などを踏まえると「今年に続きしっかりとした賃上げが実施される可能性が高い」とした。
政策判断で重視している基調的な物価上昇率が、27年度までの見通し期間後半には2%の物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するという中心的な見通しが実現する確度は高まっているとの見方を維持した。
植田総裁は1日の講演で、12月会合において「利上げの是非について適切に判断したい」と述べた。それ以降、今月の利上げ観測が急速に高まり、金融市場では既に織り込まれていた。
円安が進行する中で、金融緩和を重視するとみられている高市早苗政権も、物価高対応を重視する観点から今回の利上げを容認するとの見方が広がっていた。
総務省が19日発表した11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比3.0%上昇し、2カ月連続で3%台となった。日銀目標の2%以上となるのは44カ月連続。
著者:伊藤純夫
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