アップルの独り負け?スマホ新法は誰得か。確実に変わるスマートフォンの使い勝手とリスク管理
ヨーロッパで施行されているDMAでは、グーグルにも法律に対応するための相応な負担があったが、日本ではそれも小さく、同社は日本政府の「明確で合理的に運用されるルール」へのコミットメントを高く評価している。「追加の規制は規制対象企業やエコシステムへの負担を増やす」として注意深く監視するとしながらも、ヨーロッパのDMAよりもよいと評価している。
スマホ新法はアップル独り負け新法
ここまで読んでもらってもわかる通り、実はスマホ新法は基本的に「アップル独り負け」の法律だ。
他社のアプリストア開設も、ブラウザの選択も、他社による決済の受け入れも、ユーザーの安全性とプライバシー保護を第一に設計されてきたアップル社の統合設計(エンドツーエンド)哲学を否定し、強制的なオープン化を要求する法律となっている。
故スティーブ・ジョブズは、スマートフォン誕生以前のパソコン用アプリ市場でマルウェアなどがはびこっている状況を見て、iPhoneをアップル社純正のアプリ以外は動かせない製品として設計した。しかし、アップル社内の重役2人が「他社製アプリも流通させるべきだ」と自身の進退をかけて説得。とにかく安全性第一というジョブズを安心させるために、配布するアプリを1本1本、人間が品質や動作を審査し問題のないものだけを提供するという信じられないほど手間のかかる方法を採用する。
ここで思い出してみてほしい。現在、これだけAIが進んでいるにもかかわらず、一部のソーシャルメディアには相変わらず詐欺まがいの広告が溢れている。大手ECサイトにも相変わらず偽物や詐欺まがいの商品が溢れている。ここで多少の犠牲者が出ても、犠牲になった人の報告があってから対処すればいいというのが、今日のソーシャルメディアやECのサービスだとすると、アップルはそうではなく未然にそうした事態は避けなければならないと、人間による手動審査を重視した。そして24年だけでも170万本以上の問題のあるアプリの登録を却下している(その後、問題を修正して掲載されたものも含む)。



















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