アップルの独り負け?スマホ新法は誰得か。確実に変わるスマートフォンの使い勝手とリスク管理

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3つ目の立場は、アップルのApp Storeに代わる他社のアプリストアを立ち上げる企業だ。その代表格となるのがFORTNITEというゲームを提供するEpic Games(エピックゲームズ社)だ。非上場の会社だが、中国のテンセントが40%の株式を持ちアメリカの国家安全保障リスクの観点から対米外国投資委員会(CFIUS)などによる調査を受けて人事が変わるといったこともあった。ただし、筆頭株主はあくまでもアメリカ人の創業者、ティム・スウィーニー氏だ。

アップル社によるアプリ販売やアプリ内課金にかかる手数料が高いと裁判を起こし、長年アップルと戦ってきた企業であり、その後のヨーロッパや日本での新規制成立に大きな影響を与えた会社でもある。それだけにスウィーニー氏は11月にイベントで来日した際も大勢のプレスを前にして「アップルは悪」と言い切るほどアップルとの対立姿勢は明確で、エピックゲームズ社のストアなどからアプリを提供すればデベロッパーにより大きな利益を提供できると宣伝していた。

ただエピック版のアプリストア(他社のアプリストア)も手数料を取らないわけではない。ちなみに同ストアを通して提供するアプリが増えれば増えるほど、同社には自社アプリ以外の利益も入ってくる仕組みになっている。つまり、同社は審査基準を緩めて、取り扱うアプリを増やせば増やすほど利益があがるという状況にあり、アップルの基準では「危険」となるアプリを提供する可能性も大きい。

それに加えて2つ目の立場でも紹介したアプリ課金の手数料をアプリ提供者から得ることもできる。

一方で、エピックゲームズ社自身もFORTNITEなどのゲームを提供しているので、これらのゲームを他社に一切手数料を払うことなく提供できることは大きなメリットだろう。

他社のアプリストアとしてもう1つ有名なのは個人の開発者などが中心になって提供しているAltStoreだが、こちらはほとんどストアでのアプリ流通からはほとんど

ヨーロッパ企業への利益誘導を期待して、日本より先行してアップルに他社のアプリストア開設を強要したのはヨーロッパだが、24年春に新法が成立し他社のアプリストアが開設してから現在に至るまでの振り返りの中には、結局、それによってヨーロッパ企業の利益が大きく増えたことはなく、ただ資金の流出先がアップルから他企業に移っただけ、という批評もあった。

グーグルは規制対象であると同時に、利益享受者でもある

Webブラウザ同様に、どの検索サービスを標準で使うかの選択も促される。これは一見、グーグルにとって大きなダメージに見えるが、実際にここに表示されているGoogle以外の検索サービスを使った人はどれくらいいるだろう? Androidの画面(写真:Google)
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