アップルの独り負け?スマホ新法は誰得か。確実に変わるスマートフォンの使い勝手とリスク管理

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法律施行で変わるのは主に3点。

1つ目は、iPhone上ではこれまでアプリの入手経路がアップル社のApp Storeだけに限定されていたが、ここに他社のアプリ代替流通経路も加わる。

2つ目は、これまでiPhoneではSafari、AndroidではChromeというWebブラウザが標準で、検索サービスはGoogleの検索が最初から標準で選ばれていたが、他社に対して公平になるように一度ユーザーに標準として使うWebブラウザと検索サービスの選択を促す画面を表示することがルールとして定められた。

3つ目は、他社による決済の受け入れ。これまでiPhoneでアプリ内課金やサブスクリプションの決済はアップル社が担ってきたが、他社の決済を選べるアプリが容認されるようになる。

これに加えて電子決済などに使われるNFCと呼ばれる技術へのアクセスを他社に開放するなど、スマートフォンOS開発会社の独自機能の他社開放に関する話題も盛り込まれている。

この法律がもたらす価値は、どんな立場の人間かによって大きく変わる。すべてのパターンを検証すると長大な記事になってしまう。そこで消費者を含む6つの立場で考察してみたい。上にも書いた通り、消費者は新たに多くの判断を迫られるので、他の5つの立場を理解してもらったうえで最後に触れるようにしたい。

新法を受けてiPhoneやAndroidの最新OSでは初回利用時に、どのWebブラウザを標準ブラウザとして利用するかの選択を促す画面が表示される。こちらはAndroidの画面(写真:Google)

決済方法の自由化はアプリ開発者にメリット

1つ目の立場、最も恩恵を受けるのは、おそらくこれまでアップルが公序良俗に反すると思って審査で落としiPhone上での提供ができていなかったポルノアプリやギャンブルアプリなどのアプリの開発者だ。彼らは純粋にこれまでアプリを提供できていなかったiPhoneへと市場を拡大でき、メリットが大きい。

幼児や青少年も利用するiPhone。アップルはこうした利用者への影響も考慮してApp Store開設当初から、こうしたアプリの提供には慎重で、その開発者らからもっと柔軟になることを常に要求されてきた。その後、年齢によって利用できるアプリを制限できる機能を加えたり、保護者が子供が利用できるアプリを指名できる機能を追加したのに合わせてアップルの基準はかなり緩和され、今ではアップルが認めるApp Store上でも露出の激しい女性の絵が描かれたアプリや、ギャンブル性/中毒性の高そうなゲームを見かけることがある。

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