味の素が150億円申告漏れ、タイ法人の所得合算せず…国税局「タックスヘイブン対策税制」適用

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味の素は1909年創業で、グループでは今年4月現在、31か国・地域に計121法人がある。本業のもうけを示す「事業利益」は2025年3月期に1593億円となり、6年連続で過去最高を更新した。

食品会社のイメージが強いが、存在感を増しているのが非食品分野だ。特に、祖業のうま味調味料の副生成物を活用して1999年に開発した「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」は高性能半導体に必要な絶縁材料で、主要なパソコン向けで100%近くの世界占有率を持つ。

国税当局は近年、日本で申告・納税すべき所得が国外に流出していないか一段と注意を払っており、東京国税局も今回の税務調査で、味の素の海外での事業に着目。特にナイジェリア子会社に対する債権を巡っては、全額放棄の必要性はなく、結果として利益の一部を圧縮していたと判断したとみられる。

味の素は取材に「債権放棄当時のナイジェリア法人は大赤字で、放置しておけなかった」とし、「外部の専門家の意見も踏まえて債権放棄を実行した。税務上の目的はなかった」と説明している。

◆タックスヘイブン対策税制 =日本法人が50%超の株や議決権を持つなどし、支配下に置く外国法人に対して適用される。法人所得に対する税負担が軽い国に利益を集め、日本国内での課税を免れるのを防ぐことが目的で、適用されると、外国法人の所得を合算して日本で申告する必要がある。外国法人に事業実態があるなどの要件を満たせば適用除外となる。

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