民主党のキーパーソンが語る原発安全対策「日米の大きな格差」
民主党の谷岡郁子参議院議員(同党の原発事故収束対策プロジェクトチーム事務局次長)は5月の連休明けに訪米し、東京電力福島第一原発事故に関して米国政府や与党民主党のキーパーソンと意見交換した。帰国後の5月18日、谷岡氏に米国のキーパーソンとのやりとりについて聞いた。
--谷岡議員が面談したロン・ワイデン上院議員(民主党、オレゴン州選出、上院エネルギー委員会所属)は、4月16日付けで藤崎一郎駐米大使に書簡を送付。その中で、福島第一原発事故の解決に向けて、日本政府が国際的な支援要請をすべきだと言及していました。ワイデン議員とはどのような話をしましたか。
私および牧山ひろえ参議院議員(民主党)は5月10日に1時間ほど、ワイデン議員と意見交換をしました。ワイデン氏が私たちに強調したのは、福島第一原発の現状を自分の目で見たうえで、専門家の意見を踏まえて書簡を送ったということでした。科学者やジャーナリストの中には私と共通の知人も多く、状況をしっかり把握したうえで問題点について述べていました。
ワイデン氏は福島第一原発の危機のレベルが現在もきわめて重大である一方で、日本政府や東電の対応が十分なのかと強い不安を持っていました。とりわけ、現在も余震が続く中で、(政府が収束状態にあるとする)現状が持続可能なのかと強い懸念を抱いていました。
特に心配していたのが、4号機の使用済み燃料プールでした。もしも4号機のプールが倒壊した場合、膨大な放射性物質が環境中に拡散することで、米国の西海岸ですら安閑としていられないという見解を持っていました。
--翌11日にはウイリアム・マグウッド米国原子力規制委員会(NRC)委員と面会しました。
マグウッド委員は福島事故に際してのNRCの対応策について説明したうえで、NRCのスタッフがきわめて優秀な専門家集団であることに誇りを持っていると語っていました。昨年3月11日の事故発生直後にNRCは関係者を集めて状況の把握に努めたそうですが、資料の用意もないうちから、破局的な原発事故を回避するためには非常用復水器(IC)を動かすことが先決だという意見が出ていたといいます。