なかでも本書の柱になっているのが、「マトリクス思考」というコンサルティング業界で多用されているフォーマットです。縦軸と横軸の2つの観点を設定し、その交点に情報を置いていくことで、「抜け・漏れ・ダブり」が一目でわかるようになります。
面白いのは、扱っているテーマがビジネスの高度な課題だけにとどまらないことです。
「商品をどう売るか」「売上をどう伸ばすか」といった仕事の悩みはもちろん、「どうすれば彼女ができるか」「転職すべきか、今の会社に残るべきか」といった、かなり個人的で日常的な悩みまで、同じ“型”で整理していきます。
読んでいると、「あ、こういう悩みもマトリクスにしていいんだ」と肩の力が抜けてきます。ビジネス書というより、「悩みごと整理ノート」のような感覚で読める1冊です。
「考える=難しいこと」ではなく、「考える=とりあえず図にしてみること」と捉え直すだけで、思考のハードルは一気に下がります。
2.『新版 思考の整理学』
東大生協で「もっとも売れた本」として知られるロングセラーですが、中身を読むとむしろ「東大的な勉強法」への痛烈なカウンターになっています。
この本が一貫して伝えているのは、「勉強すればするほど頭がよくなるわけではない」ということです。
知識を詰め込むことと、それを使ってものを考えることは、まったく別の能力だ――というメッセージが、エッセイ風のやわらかい文章で語られます。
たとえば、アイデアが生まれるプロセスを「卵がかえる」ことになぞらえたり、「グライダー人間(自力で飛べない人)」と「飛行機人間(自力で飛べる人)」の比喩で、知識の使い方の違いを説明したり。受験勉強ではあまり出会わない「思考そのものをメタ的に眺める視点」を、ユーモラスに与えてくれます。



















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