「しぶとくコンサートをやっていく」美川憲一さん報告「パーキンソン病」とはどんな病気か――主な症状、治療法について医師が解説

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現在わかっているのは、脳の深部にある中脳という部位に存在する、黒質という神経細胞がゆっくりと死滅して消失していくことで、運動系障害が起こるということです。

黒質の神経細胞は文字通り黒い色をしていて、細胞内にドーパミンという神経伝達物質を蓄えています。このドーパミンが脳内の神経回路を通じてほかの運動系のシステムに働きかけ、円滑な運動を調整しています。そのため、黒質の死滅・消失とともに運動の調節機能が低下し、上記の症状が生じるのです。

現在では画像検査によって、患者さんの脳内ドーパミンの量を測定したり、自律神経の活性度を判定したりすることで、診断ができるようになっています。

なぜこうした黒質の死滅や消失が起こるのか、原因はまだ不明ですが、最新の研究では、障害を受けた黒質の神経細胞には、「レビー小体」と呼ばれる球状の異物が蓄積しており、生化学的分析では「αシヌクレイン」という物質が、その異物の主成分であることがわかっています。

黒質の神経細胞が死滅、消失するメカニズムが解明されれば、この病気の根本原因に迫ることができると考えられており、研究が盛んな分野です。

進化する治療法の最前線

パーキンソン病は「難病」指定されている病気の1つですが、根治こそいまだできないものの、先に挙げた症状を改善する対症療法が続々と登場し、大きな成果を挙げてきています。

ここからは、治療の現状についてお伝えします。

①薬物治療

減った脳内のドーパミンの不足分を外から補充しようという考えが、薬物治療の中心です。

ただ、ドーパミンそのものを注射などで血液中に入れたとしても、脳の中には余計な物質が入り込むのを防ぐシステム「血液-脳関門」があるため、脳に行き届かせることができません。

そこで、このシステムをすり抜けて脳内に入ることができるドーパミンの化学的前駆体を投与することで、脳内にドーパミンを届けることができるようになりました。レボドパというこの薬剤が、現在の薬物治療の中核となっています。

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